「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

「耳トレ!」を読んで

2024年04月15日 | 読書コーナー

どうやらようやく下火になりましたね・・、コロナ。

国際的な交流が容易になり、どういう疫病が蔓延するかわからないご時世では個人ごとの「免疫力」がいちばん頼りになるので「適度な運動とリラックス」は日常生活の上で必須ですね。


リラックスといえば我が家では「音楽&オーディオ」に尽きるが、そういう輩にとって「耳が遠くなる」ことほど悲しいことはない。

自分などは、そうなるともう死んだ方がマシとさえ思うが、悲しい現実として
聴力は20歳ころをピークに徐々に低下しはじめていき、65歳以上の4人に1人、75歳以上の2人に1人は補聴器が必要な状態だ」と、ショッキングな書き出しで始まるのが本書の「耳トレ」である。

                      
 

自分なんぞは年齢からしてよくもまあこんな耳でオーディオを楽しめるものだと我ながら感心するが、いまだにもっと「いい音を」という欲求が尽きないのだからおそらく読者から見ても 呆れかえっている人 が多いことだろう(笑)。

さて、大学教授で現役のお医者さんが書いたこの本には「耳の健康」に対する情報が満載で実に ”ため” になる本だった。

以下、とりわけ興味を引いた点を自分のために忘れないように箇条書きスタイルで整理してみた。

なお、の部分はブログ主の勝手な独り言なのでけっして鵜呑みにしないでくださいね(笑)。

☆ 難聴の大きな要因は「騒音」と「動脈硬化」

先年、日本の国立長寿医療研究センターから「加齢と難聴には相関関係がない」というショッキングなニュースが発表された。主として難聴に関係していたのは「騒音」と「動脈硬化」の二つだという。

「騒音」の原因には「騒音職場」とともに「ヘッドフォン難聴」「イヤフォン難聴」が挙げられ、
一方の「動脈硬化」は言わずと知れたメタボリック・シンドロームである。

この二つは日常生活の中で十分予防が可能だが、比較的若い時期から一人ひとりが心がけていかない限り、近い将来「大難聴時代」がやってくることは必至だという。

☆ 日本語は世界一「難聴者」にやさしい言語

どの国の言語にもそれぞれ固有の周波数帯というものがあり、母国の言語を繰り返し聞いて育つうちにその周波数帯以外の音を言語として聞き取る脳の感受性が失われていく。

そのため生後11歳くらいまでには母国語を聞いたり発音する能力に特化した脳が出来上がる。

日本語で頻繁に使われる周波数帯は125~1500ヘルツだが、これが英語ともなると200~12000ヘルツとなって随分違う。日本語は世界の言語の中でもっとも低い周波数帯の言語で、英語は世界一高い周波数帯の言語である。

したがって、英語民族は高齢になると早い段階で高い音が聞き取りにくくなって不自由を感じるが、日本人はすぐには不自由を感じない。その点で日本語は世界一難聴者にやさしい言語である。

 これは一人で二か国の言語を操るバイリンガルの「臨界期」が10歳前後と言われる所以でもある。

また、英語圏の国で製作されたアンプやスピーカーなどのオーディオ製品には、高音域にデリカシーな響きをもったものが多いが、これで謎の一端が解けたような気がする。その一方で、とかく高音域に鈍感な日本人、ひいては日本のオーディオ製品の特徴も浮かび上がってくる。


☆ 聴力の限界とは

音の高い・低いを表す単位がヘルツなら、音の強さや大きさ(=音圧レベル)は「デシベル(dB)」であらわす。
 

人間が耳で聞き取ることのできる周波数の範囲は「20~2万ヘルツ(空気中の1秒間の振動が20回~2万回)」の間とされているが、イルカやコウモリなどは耳の形や構造が違うのでこの範囲外の超音波でさえ簡単に聞き取れる。 

ただし人間の場合は20ヘルツ以下の音は聴覚ではなく体性感覚(皮膚感覚)で感じ取り、2万ヘルツ以上の音(モスキート音)は光や色として感じ取りその情報を脳に伝えている。

 人間の耳は一人ひとりその形も構造も微妙に違うし、音を認知する脳の中味だって生まれつき違う。

したがって同じオーディオ装置の音を聴いたとしても各人によって受け止め方が千差万別というのが改めてよくわかるが、
音に光や色彩感覚があるように感じるのは超高音域のせいだったのだ!

☆ 音が脳に伝わるまでの流れ

耳から入った空気の振動は外耳道と呼ばれる耳の穴を通り、アナログ的に増幅されて鼓膜に伝わり、アブミ骨などの小さな骨に伝わってリンパ液のプールである蝸牛へ。そこで有毛細胞によって振動が電気信号に変換され、聴神経から脳に伝わる。これで耳の中の伝達経路はひとまず終了。

この電気信号が言語や感情と結びついた「意味のある音」として認識されるまでにはもう少し脳内での旅が続く。

電気信号が聴神経や脳幹を経て脳内に入ると、まず、大脳の中心部にある「視床」に送られる。ここは、脳内の情報伝達の玄関口となっている。視覚、聴覚、皮膚感覚などあらゆる感覚情報が必ず通る場所で、単純に音だけを聴いているつもりでも、様々な感覚情報とクロスオーバーしている。

また「視床」を通過すると音の伝達経路は「言語系ルート」と「感情系ルート」の二つに大きく分かれる。前者は最終的に「言語野」に到達するが、後者は大脳の一次聴覚野を通らず、いきなり「扁桃体」に直結していて「イヤな音」「うれしい音」というように音を直感的・情緒的に受け止める。

※ 音楽を聴くときにカーテンなどでスピーカーを隠してしまったり、あるいは目を瞑って聴いたりすると、機器の存在を意識しないでより一層音楽に集中できるのは経験上よく分かる。

さらに、直感的なイメージとして述べると、オーディオ愛好家が音楽を聴くときには心が揺り動かされることが多いので主として「感情系ルート」がはたらき、それ以外の人たちが(音楽を)聴くときには主として「言語系ルート」が働いているように思うが果たしてどうだろう・・・。

ほかにも本書には「音楽好きための難聴予防テクニック」など貴重な情報が満載で、末永く「音楽&オーディオ」を楽しみたいと思われる方は是非ご一読されることをお薦めしたい。

 

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