「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

SACDの「サキソフォン コロッサス」を聴く

2015年10月13日 | オーディオ談義

9月中旬にDAコンバーター「エルガー プラス」が我が家にやってきてから、ずっとSACDの余震冷めやらずといったところだが、「この人、ちょっとはしゃぎ過ぎ」と思われる方は不愉快になるだけなので、どうかこの先は読まないように(笑)。

今回はつい最近購入したSACD盤「サキソフォン コロッサス」(以下「サキコロ」)の試聴結果について記してみよう。

まずはじめに「サキコロ」を購入した経緯について触れておくと、

9月下旬のブログで、オペラ「魔笛」(モーツァルト)のショルティ指揮盤がSACDとして発売されていることに関連して、「
しかし、アナログ時代のそんな昔の録音をSACD盤に焼き直したところでどのくらいの効果があるんだろうかとちょっとためらいを覚える。」と、記していたところ、メル友のYさんから次のようなメールをいただいた。匿名ということで無断転載お許しください。

「以前、真空管アンプとヘッドフォンについて御教示していただいたYです。

~前略~

さて、今回の貴ブログの記事にて、SACDでアナログ録音は聴けたものなのか…と言うような趣旨の事を書いておられましたが、私としては 「是非、聴いてみて下さい!」と言いたいですね。

特に '60~'70年代の録音の 適切なリマスタリングが施されたものは、デジタル録音のSACDよりも、聴いた時のインパクトという点で明らかに上に感じます。何故だかは 解りませんが、私の安い DENONのSACDプレーヤーでも 確認出来る程ですので、「ラ・スカラ」、「エルガー・プラス」という最高峰の機器からは どのような「天上の音」を紡ぎ出されて来るのか 興味が尽きません。
  
機会があれば アナログ録音のSACDを聴いてみて下さい。」

誠実さがひしひしと伝わってくる真摯な文面に思わず心を打たれて、そうですか、成る程!

SACDの先輩がこれほどまでに仰るのならと、ようやく聴いてみる気になり(笑)、とりあえず2セット購入してみた。

ジャズの名盤として知られる「サキコロ」(ソニー ロリンズ)と「魔笛」(ショルティ指揮:3枚セット)。いずれも1950年代前後のアナログ録音をSACDにマスタリングしたもの。

ジャズは滅多に聴かないのだけれどこの「サキコロ」だけは別格の存在。いくら門外漢でもジャズのエッセンスが感じられるから不思議。それに、システムを代えたときのテスト盤としてこれほど最適な盤はない。モノラル盤なので音像定位の確認の面からも重宝している。

ど素人の自分がいくら名盤といっても信じてもらえないだろうから、関係者の言を引用しよう。

≪まず演奏の当事者から≫

トミー・フラナガン(ピアノ)

あっという間にレコーディングが終了した。リハーサルもなし。簡単な打ち合わせをしただけでテープが回された。録り直しもなかった。やっているときからこのレコーディングは素晴らしいものになると確信していた。
 

マックス・ローチ(ドラム)

ソニーは何も注文を出さなかった。妙な小細工を一切せずにそのときの気持ちを素直に表現しただけだ。豪快で大胆、ソニーの持ち味がこれほど理想的な形で聴ける作品はほかにない。


≪ジャズ演奏者≫

トム・スコット(テナー・サックス)

セント・トーマスのリズミックなフレーズこそ彼ならではのものだ。普通のスウィング感とは違う。それでいて、ありきたりのダンサブルでもない。ジャズ特有の乗りの中で、独特のビートを感じさせる。これぞ典型的なロリンズ節だ。
 

ブランフォード・マルサリス(テナー・サックス)

ロリンズのアルバムの中で一番好きなのがサキソフォン・コロッサス。ここではいつにもまして構成なんかまったく考えていない。出たとこ勝負みたいなところがある。それで終わってみれば、構成力に富んだ内容になっている。これってすごい。うらやましい才能だ。この盤は不思議な作用があって、何かに悩んだときに聴くと、必ず解決策が浮かんでくる。お守りのような作品だ。全てのテナー奏者が聴くべき作品だし教科書でもある。
 

この盤の凄さが分かっていただけたと思うが、今回のSACD盤の購入によって、とうとう録音の違う「サキコロ」が3種類になってしまった(笑)。

            

上段左がビクターのXRCD盤(20ビット録音)、右側がDSDマスタリング盤、そして下段が今回のSACD盤。

いずれも録音のボリュームレベルが非常に低いのが特徴だが、これを順番に聴いていってそれぞれの盤のどこがどう違うのか、最終的にはSACD盤の音質を確認しようという試みである。

ときは10月9日(金)、1枚に全部で5曲収録されていて時間にしてトータル40分程度だが、3枚すべて通しで聴いた。したがって、2時間ほどのぶっ続け試聴となった。

ここでテストに使ったシステムの内訳を記しておくと、

CDトランスポート「ヴェルディ・ラ・スカラ」(dCS) → DAコンバーター「エルガープラス」(dCS) → 「トランス式アッテネーター」(カンノ) → パワーアンプ「オリジナルWE300Bシングル(1950年代)」(モノ×2台) → スピーカー「フィリップス」(口径30センチ:ダブルコーン、ウェストミンスターの箱入り)

けっして自慢にはならず、むしろ恥ずかしい限りだがどんなに気に入った音が出ていても3週間ほど続けて聴いていると変化が欲しくなる。したがって組み合わせるアンプをクルクル替えることになるが、何ともはや因果な性格である。もっとも、伴侶の場合は対象外なので念のため(笑)。

試聴のポイントの第一は低音とか高音がどうのこうというよりも、違和感なくそして飽きることなく最後まで聴けるかどうかということで、不自然な音が出てくれば自ずから耳が受け付けなくなって、途中でリモコンのストップボタンを押すということに相成る(笑)。

その点では3枚とも最後まで聴けたが、結局「XRCD」盤は繊細だがやや力感に欠ける、「DSDマスタリング」盤はマッシブだがやや分解能が劣り彫が浅い、そして両盤とも高域がシャリシャリして刺激的でやや耳につく。

それがSACD盤となると、スカッと抜けきった高音域がスッキリ爽やかでいっさい耳障りに感じないのが不思議!したがって拘りなくアッテネーターのボリュームを2目盛ほど上げられ、その分、レンジから力感、スケール感が増大し、他の2枚の盤で聴いたときのいろんな不満点が見事に解消された。

さすがはSACD盤!(笑)。

次は、ショルティ指揮の「魔笛」のCD盤とSACD盤の比較について~。いよいよ本命の登場だ!

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