「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

ミステリ・ファンの座右の書「米澤屋書店」

2022年01月13日 | 読書コーナー

この年初めに紹介した「このミステリがすごい!」(2022年版)をご記憶だろうか。



本書の中で国内版ミステリの第一位を占めたのは「黒牢城」で、著者は「米澤穂信」(よねざわ ほのぶ)さん。

このところ、よくお見かけする名前で「このミス・・」の常連になられている感があるが、このたび恰好の本を見つけた。

というのも、今年は他の図書館に比べて一足早く4日が開館日だったのが隣町の図書館だった。

何とはなく新刊コーナーをぶらついていたら、目にとまったのが「米澤屋書店」、はて面白いタイトルだがと著者を見たら「米澤穂信」さんだった。



「これは、きっと面白い本に違いない!」と、ピンときたね~(笑)。 

これだから図書館通いは止められないと、小躍りしながらさっそく
一読してみるとミステリ作家「米澤穂信」氏のすべてが詰まっていると言っても過言ではないくらいの本だった。

たとえば、こういうことが書いてあった(44頁)。

「本棚を見せる以上の自己紹介はないでしょう。それゆえ、私は、人に本棚を見せることを好みません。しかし、今回こうした文章を書いて、いまは、手の内を無防備にさらけだしたような心細さを感じています。もはや私自身について、そしてこの本について申し上げるべきことは思いつきません。」

実は、オーディオでも似たようなことが言えそうで・・。

というのも、自分が長年かかって「創り上げたサウンド」を人に聴いてもらうのは、何だか心の中を直接覗かれるというか、手の内を無防備にさらけだしたような気がして心細くなる・・(笑)。


それはともかく、本書の中で氏が大好きなミステリを10冊紹介してあったので紹介しておこう。

✰ 「時計館の殺人」(綾辻行人)

とにかく解説が熱い!

たとえば「真相を知った瞬間に目を剥きましたよ。あまりの衝撃にこんなことを考える人間がこの世にいていいものかと思った。そしてですね、読み終えてしばらく経って、ふと再読したときに二度目の衝撃が襲ってくるんです。文章のあちこちに、ほとんど答えそのもののような形で、真相が示唆されているではないですか。」

といった具合。自分も「時計館の殺人」を読み終えたときに「奇想天外のトリックとあまりの恐怖」に打ちのめされたことを告白しておこう。娘も読んでいる最中から「とにかく怖くて、怖くて!」と、こぼしていたほどだが夢中になって読んでいた(笑)。

こういう熱のこもった調子で以下の本が紹介されていく

✰ 「乱れからくり」(泡坂妻夫) ✰ 「白雪姫の殺人」(辻真先)
✰ 「せどり男爵数奇譚(たん)」(梶山季之) ✰ 「第三の時効」(横山秀夫) ✰ 「ユージニア」(恩田陸) ✰ 「大誘拐」 (天藤真) ✰ 「明治断頭台」(山田風太郎) ✰ 「アヒルと鴨のコインロッカー」(伊坂幸太郎) ✰ 「六の宮の姫君」(北村薫)

以上のとおりだが、本書では全編にわたって米澤氏が読破したあらゆるミステリが何らかの形で登場してくる。

こうなると「米澤」氏は間違いなく日本の「アンソニー・ホロヴィッツ」と言ってもいいくらいだし、今後の日本ミステリ界を引っ張っていく逸材だと折り紙を付けたくなる。

とうとう、最後には図書館に返却するのが惜しくなって、ネットで同書を購入することにした。こういうことは初めて!

たとえて言えば、友人からコピーCDを借りて大いに気に入り、別途(音質に優れた)オリジナルCDを購入するようなものかな(笑)。

本書があらゆるミステリファンの「座右の書」となることを確信しながら、ぜひご一読をお薦めする次第です。



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