前々回からの続きです。
とうとう「AXIOM80」(オリジナル版)を容れた「自作の箱」改造のやむなきに至ったのは既に記述どおり。
自作の箱の底板にグッドマン(英国)の口径30㎝のユニット「AXIOM150マークⅡ」(以下「マークⅡ」)を張り付け、サブウーファーとして低音域を床面に放射させようという虫のいい魂胆だったがこれは失敗した。
こんなヤワな箱(板厚1.5cm)に二つのユニットを納めるという発想がそもそもの間違いで、実際に音を出してみたところ、お互いの背圧が邪魔し合って何とも「奇妙な音」に変身した。
あっさり諦めてこのユニットをそのまま「重し」代わりに使うことに方針転換した。ヤワな箱の剛性が増すことだろうし、ついでに「ドロンコーン」代わりになってくれたらめっけ物だが。
というのも、この「150マークⅡ」のコーン紙は薄くて軽いのでAXIOM80の背圧効果により微妙な振幅を期待したいというわけだが、「バッフルの前面に「2cm×50cm」の隙間を作っているので無理でしょう」とは、オーディオ仲間のYさんのご託宣だった。
そう、2週連続でYさんがお見えになったのである(笑)。
それはともかく、この「重し」を容れ、2㎝の隙間を作った箱に内蔵した「AXIOM80」(オリジナル版)を聴かれて感心されるばかり。
「明らかに復刻版に比べて極めて繊細な再生振りですね。おそらくこのスピーカーの右に出るユニットはないでしょう。それに以前よりもたしかに響きが自然になってますよ。2㎝の隙間と重しの相乗効果でしょう」
とはいえ、Yさんのご自宅のシステムといえば、マークレヴィンソンのアンプを売り払って「デジタルアンプ」(30万円)を購入したり、口径10cmのフルレンジのユニットを長岡式のボックスに容れたりで、凄い財力なのに「AXIOM80」を絶対に購入しようとはなさらない。
「真似をしたくない」という意地もここまでくれば大したもんです(笑)。
何はともあれ、我が家の真打「AXIOM80」(オリジナル版)が数あるSP群の中で主役の座に躍り出たのはうれしい限り。
これも遠因を辿ると、小型スピーカー「PL100」(英国:モニターオーディオ)を購入したことに始まる。
ほんのちょっとした「きっかけ」から始まった連鎖反応に何だか運命的なものを感じている。
実際に列記してみると、
「PL100」 → 「SPスタンド」 → 「JBLユニット」 → 「箱の前面バッフルの隙間の重要性」 → 「AXIOM80(復刻版、オリジナル版)の両者を容れた箱の見直し」
といったことになる。身びいきかも知れないが「結果オーライ」でした。
あっ、そうそう、「AXIOM80」といえば、メル友の「H」さん(神戸)がこのほどオークションで「AXIOM80」のオリジナル版を「30万円」で落札された由。
「H」さんは自分と同じ大学のご出身で、長いことファッション関係のお仕事をされており美的センスにうるさい方である。
羨望の的だった「AXIOM80」(オリジナル版)がオークションに出品されるたびに根気よく「30万円」で入札されていたところ、いつも圏外だったのが今回は珍しくギリギリセーフで予想外の最高額となり無事落札できたと喜ばれていた。
ちなみに我が家の場合は10年ほど前のこと、たしか「36万円」前後だったと記憶しているが、「H」さんによるとひところより「値下がり気味です」とのことだった。
そして、実際に到着して鳴らしてみたところ「極上品」とのことで、かっての持ち主だった相手側との連絡も密にされており、この上ない満足感に浸っておられるご様子。
さらに「AXIOM80をもっとうまく鳴らそう」と周辺の真空管アンプの球を入れ替えたりで全面的に見直しされたそう。
「ジャジャ馬」との名称どおり、うまく鳴らすのがことのほか難しく「このユニットを持つ者は人生を過つ」とまで言われているAXIOM80だが、どうかこのまま順調に推移されることを祈るばかりである。
いずれにしても、オーディオを楽しむためには激しく情感が揺さぶられるような「起爆剤」が必要のようですよ。
「人生を楽しむ」のだってそうですけどね(笑)。
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