「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

テレビ番組の効果音

2013年09月20日 | 独り言

ネット情報によると今や超人気のテレビ番組「半沢直樹」(TBS)が戦後になって5番目(ドラマ分野)の高視聴率を達成したとやらで、何と40%を超えたという。

この番組は本当に面白い。福岡に住んでいる娘から「お父さん、面白いテレビ番組があるの知ってる?」との連絡を受けて、第3回目からずっと観ている。

去る15日(日)の放映分は第9回目だが、1クール10回だから来たる22日をもって終了となるのでちょっと淋しくなる。久しぶりのヒット番組にTBSは活況を呈しているようだが、早くも続編が取り沙汰されており、今のところ映画製作には走らずにシリーズ化して息の長いテレビ番組にする方向のようだ。

原作者の「池井戸 潤」(過去に江戸川乱歩賞受賞)さんも主人公が出世の階段を登っていくストーリーの創作に意欲満々とのこと。

さて、(この番組が)なぜこんなに世間に受けるのか、といった話は過去のブログで触れたし、巷には分析記事が溢れているのであえて触れないが、ここで取り上げたいのは人の心理に与える音響効果である。

この番組では、大銀行の頭取さんとか大企業の社長さんなどのお偉いさんが頻繁に登場する。したがって贅を極めた豪華なVIPルームでのシーンが少なからず出てくるが、その時の入室、退室時の重々しいドアの開閉音
が実に印象的だ。

広大な室内空間の中で「ズシーン」と腹に響き渡ってくるような音がしてまことに凄い迫力である。まるで“生殺与奪”の権を握った人間から運命の宣告をされる裁きの場に居るかのような印象を受ける。

この音がドラマ全体の雰囲気や緊張感の持続に大いに寄与していることを認めざるを得ない。改めて重低音が人の心理に与える効果に大いに感じ入った次第。

ここで丁度いい機会なので「重低音 心理的効果」でググってみたところ、次のようなことが書いてあった。ご存知の方も多いだろうが引用させてもらおう。

人間の聴覚器官が耳であることは言うまでもないが、音の知覚が耳だけでなく身体全体で感じとっているものであることは、多くの文献でも指摘されており、周波数が低くなる程、身体で感じとっている比率が高くなるとも言われる。

近くで打たれる大太鼓の音が腹に響くのは、低音域音響エネルギーが人間の身体を振動させているのである。これらは、それと意識されるものから、無意識の中に感じとっているものまで、多くのものがある。

 この音響エネルギーは、しばしば大地や床面等を伝ってくる振動を伴うものがある。例えば、電車やSLの走る音や火山などの爆発音などは振動を伴っているが、この振動感さえも音の情報の一部となり、最終的には耳からの情報と重なって総合的な音響知覚が行われる。

そして体で感じている情報の多くはあまり意識されず、聴覚の「縁の下の力持ち」的な役割をはたす。これら音圧が体を振動させて感じる振動感や、床面や大地を伝って感じとられる振動感を、それと意識されるものから無意識の中に感じとっているものまで含めて「体感音響振動」と呼ぶ。

 体感音響振動は「縁の下の力持ち」なるが故に、人間の根源的、生理的、官能的な面や音識下の世界にも影響を及ぼす側面があるように感じられる。

音楽の場合では、陶酔感、恍惚感、リズム感、重低音感、エネルギー感などの心理的快感、生理的快感をもたらし、人間の官能にも訴える一方、ある種の音に対しては、不安感、緊張感、恐怖感などを倍加する。

耳から聴いている音は、意識的、論理的な面に訴えるウエイトが高いのに対し、体感音響振動は、より情緒的、本能的な面に作用し、何か人間の根源的なものに訴えてくるように感じられる。

≪音楽は身体で聴く -耳の聞こえないパーカッショニスト≫

 女性打楽器奏者エヴェリン・グレニーは 8才の時から聴力を失い始め、12才の時には音のない世界となった。自分の演奏した音を確認する方法は、自分の 「身体」。音楽は身体に伝わる〈振動〉で感じ取るのだという。

 「例えばマリンバの場合、低音は床を通じて下半身で、中音は胴体で、そして高音は頭部、特に頬骨で感じる」 のだそうである。これはとても感動的な話である。

 健聴者は音から得られる情報によりマスキングされて振動をあまり意識しないが、彼女の話を聞けば人間はいかに振動の影響を受けているかが理解されるだろう。

 また彼女は演奏会の後の説明で 「女性バイオリニストが好んで肩の露出したドレスを着て演奏するのは、顎と肩で直接、楽器の振動を感じ取りたいと思うからです」 とも言っていた。

この話は 『バイオリニストが、顎に楽器を抱えて、陶然と自分の弾く音に浸っているのは、顎の骨にバイオリンの表裏板からじかに伝わる振動音、ボーンコンダクションの音を聴いているためである。

楽器を演奏する人は耳で聴く音の他に、楽器を持つ手、身体を通して直接振動が伝わり聴覚系伝播されるが、音楽の中で聴く人に真の恍惚感を与えるのは、直接伝わる「振動」・ボーンコンダクションの方である』 という糸川英夫博士のボーンコンダクション理論と一致する。

というわけである。音楽を聴く上で重低音の大切さが分かるが、オーディオの場合、もっともコストがかかるのが重低音であり一番の泣き所となっていることはマニアなら先刻ご承知のことだろう。

話は戻って、「ドアの開閉音」である。昔の話になるが「ドアの開閉音はステータスの象徴」とばかりに、やたらにこだわる人がいたが、“たかがドアの音”だが人によってはまるっきり受け止め方が違うのである。

そもそも全体のツクリや土台がしっかりしていないと重量感のある音は出ないし、そこには「手間とお金」がたっぷり注ぎ込まれていることは言うまでもない。

ちなみに我が家のオーディオルームは広さが6m×7m、高さがおよそ4m、窓はすべて二重窓で出入り口のドアも二重扉にしているが、とても頑丈なツクリとは言えず開閉の音がどうも軽々しいのが癪の種になっている(笑)。

ほかにも卑近な例だがクルマのドアを閉める音にも如実に格差が現れる。

人によっては下駄代わりに過ぎないクルマだが、それぞれ価値観の違いもあって車種にこだわる人はたくさんいる。パタンという軽めの音からドスンという音までまさに千差万別だが、ドアの開閉音によってある程度“車格”が決まるといえば、思い当たる人も多いのではなかろうか。

ふと思い出したが、去る16日(月)に我が家に試聴にお見えになったKさん(福岡)から昼食の外出時に乗っけてもらったBMW(排気量4.5リットル)のドアは重すぎて降りるときにヨイショと一苦労だったが、閉めたときの音もこれまた格別だった(笑)。

話は戻って、それにしても我が家で受信しているクラシック専門放送「クラシカジャパン」(CS放送)のオペラ番組などよりも、はるかにこの番組の方に重低音が出るのはいったいどうしたことだろう?

TBSのテレビ用録音機材が優秀なのだろうか。それとも、宇宙から来る電波と地上の電波との距離の違いなのだろうか。あるいは、オペラの舞台などではより広大な空間のもとでどうしても音が拡散してしまうので収録時そのものに難があるのだろうか。

それはさておき、すでにお察しのとおりテレビ本体に付属しているスピーカーから出る音に重低音を期待するのはまず無理である。

我が家では(家内は別室で観る)テレビを観るときの音はいつもオーディオシステムを使っている。テレビチューナーの光デジタル出力端子からDAコンバーターの光デジタル入力端子に光ケーブルで接続しているので、リモコンのスイッチでCDソースと簡単に切り替えられて非常に便利。

使っているシステムは3系統のうち、これと決まっているものはないが、自然と低音域が一番雄大に聴こえるJBL3ウェイシステムのスイッチを入れることが多い。

タンノイ・ウェストミンスターのエンクロージャーと、200ヘルツ(6db/oct)でハイカットしたJBLのD130(口径38センチ)、そしてDCアンプ「ケンウッド0-1A」(非磁性体)
の組み合わせはなかなかの低音ですぞ~(笑)。

一般的な話として音楽を聴くときに低音域が過剰になると中高音域に被ってくるので全体の音像がぼやけてしまい明らかに聴きずらくなるが、テレビ番組の場合は人の会話が主体となっており、(低音域以外の)持続している音がないので伸び伸びと低音が活躍して実に心地よい。

したがって、お気に入りのテレビ番組はなるべくなら本格的なオーディオシステムで視聴されることをお薦めする次第。

たぶん、番組から受ける印象が一変しますよ。
 

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