「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

真実は細部に宿る

2024年09月04日 | 独り言

まるっと18年間続けているブログだが、書くのは別に苦にならないけれど肝心の「文章の出来は・・」といえば、ま、どう贔屓目に見ても「可もなく不可もなく」といったところかなあ(笑)

で、もっと「(文章が)上手くなりたい」という願望を常に持っているので、参考になる記事にもつい目がいってしまう。



図書館で偶然目に入った月遅れの「文芸春秋」の中にその関連記事があった。

この月刊誌は派手な新聞広告の見出しにつられて時折購入するものの、いつも期待外れで自費で購入するのはご法度にしていたけど、タダなら良かろうということで借りてきた(笑)。

ところが、今回の読物は予想外に面白い記事のオンパレードですっかり見直した。中でも、タイトル「記者は天国に行けない」(439頁)は出色だった。

名物記者による新聞記事の書き方の神髄が紹介されていた。忘れないように箇条書きして残しておくとしよう。

★ 「みいちゃんはーちゃんが好む文章はどう書けばいいんですか」、みいちゃんはーちゃんとは、ミーハーの語源で、庶民、大衆を指す。

「そうやなあ、最初、頭へボンとぶつける。それからフワフワフワッと書いて、終わりはストンと落とすか、キュッと結ぶんや。」

つまり、まず迫力のあるところを冒頭にぶつけてつかみを取れ。そして起承転結でいえば、承、転とフワフワという具合に繋ぎ、意外な結論に落とすか、小気味よく結べというのだ。

★ 名物記者が繰り返して言ったことが四つほどある。一つは「真実は細部(ディテール)に宿る」。とにかく細部にこだわれというのである。

インタビューに行った場合は相手の鼻毛の伸び具合まで観察し、机の上の静物から取材相手の後ろの壁の色、壁に掛かっている絵画に至るまでメモをして来い、と指示した。

高校野球の原稿で「打球は風に乗ってスタンド入りした」などと書くと、必ずこう聞いてくる。「おい、そのとき、風はどちらから吹いていたか?」首をひねると𠮟声が飛ぶ。

「球場バックスクリーンのポールに高野連の旗と校旗が掲揚してあっただろう。風があればそれはどちらかの方角にはためいていたはずだ。そうでなければ打球が風に乗ったのか、お前さんにどうしてわかるんだ!」

「三塁線ぎりぎりにヒットを放った」と書くと、また聞いてくる。「その時、白煙は上がったのか?」言葉の意味が分からず、首を傾げていると、彼は三塁線ギリギリのボールならラインの白線をかすめて落ちたはずで、石灰の白い煙がパッと上がったに違いないと言う。

「ぼんやりと眺めるな。その一瞬を見逃すから景色は立ち上がらず、真実からも遠ざかる」

★ 二つ目に「かみさんに読んで聞かせるように原稿を書け」といった。作家の「井上ひさし」さんは作文の秘訣を一言でいえば、自分にしか書けないことを、誰にでもわかる文章で書くということだけなんです、と教えたが同じようなことを言いたかったのだろう。

★ 三つ目は書き出しで読者の心をつかめ、というのだ。青森県版で雪の連載を始めたとき、彼は連載の冒頭をこう書き直した。「雪は暖かい、本当の話だ」それから”かまくら”の雪洞を見ればそれがわかる、という趣旨の文章に続けた。

新聞記事は読み捨てられていくので、紋切調の記事でも済まされることが多い。だが、工夫なく手垢にまみれた文章を書いていると、自分には何も残らない。

意外だったり逆説的であったり誌的であったり、つかみを深く考えることが読まれる記事に繋がり自分のためになると、彼は口を酸っぱくして言った。

★ 四つ目は自分だけが書ける特ダネを取り、その一方でわかりやすい文章を書くことができれば、その書き手はきっと必要とされる、と彼は言った。

「お前さんはこれからいろいろあるだろうよ。でも、文章だけは理想を貫くことができるもんな。記者は本社に従いつつも独立しているんだぞ、本を読め、良い文章を書け、特ダネと文章で立つことができれば、会社におもねる必要はない。この二つが両立できる記者はめったにいない。」

とまあ、以上のような内容だった。

新聞記事と同じで簡単に読み捨てられる運命にあるブログを書くときの心構えも同じことで、これからは冒頭の入り方、ディテールの大切さなど大いに参考にさせてもらいましょう(笑)。

で、これに関してふと思い出した逸話がある。

その昔「MLB」に「サンディ・コーファックス」というサウスポーの剛球投手がいた。



ネットによると、現在88歳、名門ドジャースのスぺシャル・アドバイザーとなっているが、彼が投げると時折り「きな臭い焦げた」匂いが打席付近に漂ったという。

なぜか? 彼の投球に対して打者がファールチップした時に、(バットとボールが)「こすれる」ことによって摩擦熱が発生し木のバットが焦げたというのだ。

いかに、もの凄い剛速球だったかが推し量られるエピソードで、これこそディテールを象徴する話だと思いませんかね~(笑)。



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