年頭にあたって搭載した「今年のオーディオ展望」で触れていたとおり、予備で保管していたAXIOM80(復刻版:以下「80」)活用の実験を試みたので記録しておこう。何がしかのご参考になれば幸いです。
今回のチャレンジのポイントになるのはネットワークである。
先月末に投稿したように「200~4000ヘルツまではマグネットの違うSPユニットを混ぜ合わさない」がベースになっている。
もちろん80を「ARU」付きの箱に容れてフルレンジで鳴らすのが常套手段だが、これでは自分が望む低音はどうしても出てくれない。
そこで、それぞれ2台のアンプを駆使して200ヘルツ以下をJBLの「D123」(口径30センチ)で補おうという算段である。
レスポンスが早めの「D123」なら80のスピードとうまくマッチングできるかもという淡い期待感がある。
グッドマン(イギリス)とJBL(アメリカ)という「水と油」とされる組み合わせの2ウェイ方式でいい結果が出たら万歳ものだけどなあ(笑)。
となると、80を200ヘルツ(-6db/oct)以下でローカットするコンデンサーをどう調達するかという課題が浮上してくる。
もちろん、ネットワークに使うコンデンサーやコイルあるいはチャンデバなどは確実に音を悪くするので使わないのが一番いいものの、80を箱(ARU付き)に容れないで裸で(フルレンジで)鳴らすと、これまでの経験上確実に故障(ノイズ発生)するのだから始末に悪い。
そういうわけで必要悪としてコンデンサーを使ってローカットするしかない。
「クロスオーバーネットワーク早見表」によると80のインピーダンスが15Ωだから、200ヘルツあたりでローカットするには計算上「45μF(マイクロファラッド)」のコンデンサーが要る。
さて、こんな数値のコンデンサーは手元にないがどうしようか。
とりあえず、オーディオ仲間のNさん(大分市)に相談してみた。
「ああ、47μFのフランス製のコンデンサーならあるよ。」
「よろしかったら試してみたいので貸していただけませんか?」「いいよ!」と、話が成立。
47μFだと210ヘルツあたりでローカットできる計算になるのでピッタリ。
さっそくクルマで45分ほどの道をすっ飛ばして借り受けた。
想像以上に大きなコンデンサーだった。
さあ、道具は揃ったとばかり作業手順を反芻しながら次の日から作業に取り掛かった。
1 まずは「トライアクショム」(グッドマン)をバッフルごと外して2階の寝室へ運ぶ。代わりに「D123」(JBL:口径30センチ)を持って降りる。それほど広くもない寝室が次第にオーディオ機器に占領されているのを見るのはつらい(笑)。
以前は同居人から「オーディオ機器をいろんな部屋に持ち込まないで!」と口酸っぱく言われていたが、肝心のご本人の部屋にも趣味の「蘭」の花を沢山持ち込んでいるので文句を言える資格が無くなっているのはご愛嬌。これを「呉越同舟」というのかな?(笑)。
2 「D123」(バッフル付き)を共通のネジ穴(4か所)で箱に取りつける。次にムンドルフ(ドイツ)のコイルを使って「150ヘルツ」あたりでハイカットして結線する。これで低音域側は作業完了。
3 次に210ヘルツ以上を担当する80を裸(バッフル付き)のまま箱の上に載せて、プラス側のSPコードにコンデンサーを挿入する。もちろん両端はハンダ付け。
4 低音域側のハイカットが150ヘルツ、中高音域側のローカットが210ヘルツだが、このくらいの誤差はまったくの問題外で、2台のアンプ側のボリューム調整で何とでもなる。
両チャンネル合わせて1時間ほどで作業が完了した。
裸の80を駆動するには小出力の優しいアンプがいいだろうと、久しぶりに「171シングル」を引っ張り出した。
オール・ナス管で、前段管(左側)は「AC/HL=MH4」(英国マツダ:初期版)、出力管(中央)は「171」(トリタンフィラメント)、整流管(右側)は「OK-X213」(メッシュプレート)と、すべて1930年代前後の古典管で、持ち主が言うのも何だがオークションでもめったに手に入らない希少管ばかりである。
そして、低音域側(D123)の駆動は仲間から借りている「EL34のプッシュプル」である。
さあ、どんな音が飛び出すか胸をワクワクさせながら各機器をスイッチオンしてじっと耳を澄ました。
そして、極寒のなか紆余曲折を経ながらオーディオはどうしてこんなに楽しいんだろう!を実感することとなった(笑)。
以下、続く。
この内容に共感された方は励ましのクリックを →