「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

人生を変えた10の名曲~前編~

2018年10月07日 | 音楽談義

作家の「百田尚樹」さんといえば「永遠の0」「海賊と呼ばれた男」などのベストセラー作家だが、クラシック愛好家としてもよく知られている。

なにしろ40年間にわたってひたすらクラシック音楽を聴いてきた御仁で「至高の音楽」「この名曲が凄すぎる」「クラシック天才たちの到達点」など関連の著作が3冊もある。

文壇でクラシック愛好家とくれば、五味康介さんを嚆矢(こうし)として、小林秀雄、大岡昇平、安岡章太郎など(敬称略)の錚錚たるメンバーが並ぶが、いずれも文筆が達者なせいか音楽評論家の素っ気ない文章とは雲泥の違いで「紹介された音楽をぜひ聴いてみたい」と思わせるものがある。

そして、近代の作家では自分が知っている限り「石田衣良」さん、そして「百田尚樹」さんに指を屈するだろう。

その百田さんが「恋するクラシック」(BS朝日:10月1日夜9時~10時)という番組に出演されていた。

ご覧になった方もあると思うが、民放では珍しい「クラシック専門番組」なので毎週録画して観ているが、今回のテーマは「百田さんの人生を変えた10の名曲」というもので、1曲ごとにライナーノート並みに百田さんの解説が入り曲目が紹介されるというもの。

稀代のクラシック通による選曲はいったいどんな曲目だろうと興味津々だったが、10曲全部を振り返ってみると、どちらかといえば比較的よく知られた「ポピュラー」なものばかりという感じを受けた。

おそらくこれから「クラシックに親しみたい」という初中級者向きという観点からの選曲だったろうと推測する。

何しろ番組中のイントロ・クイズでロッシーニの「泥棒カササギ序曲」という難しい曲を一発でただ一人正解を出されたほどの博識な御仁なのできっと手控えされたに違いない(笑)。

それでは「ぜひ多くの方々に聴いていただいて一人でもクラシックファンを増やしたい。」という観点から選曲された10の名曲を紹介してみよう。

第10位「英雄交響曲」(ベートーヴェン交響曲第3番)

百田さんが初めてクラシックの良さに目覚めた曲で、はじめのうちはさほどでもなかったが何回も聴いているうちに大好きになったとのこと。クラシックは何回も聴かないと良さが分からないことを身を持って体験した曲目。演奏はカラヤン指揮:ベルリンフィルハーモニー。

きびきびした引き締まった演奏でなかなか好感が持てたが、この曲にはフルトヴェングラー指揮の名演がある。好き好きだが
ドラマティック、デモーニッシュという面では一日の長があるように思う。

第9位「ピアノ協奏曲第20番」(モーツァルト)

百田さんの母親が好きな曲目で毎日聴いていたのでいささか食傷気味だったが、新婚旅行中の機内でイヤフォンで偶然聴いて大好きになった。環境次第でクラシックの趣が変わる好例として挙げられていた。演奏はマルケヴィッチ指揮、ピアノはクララ・ハスキル。

ちなみにハスキルの演奏は史上最高の名演として知られ、いまだにこれを超えるものは出てこない。

第8位「和声と創意への試みから~四季~」(ヴィヴァルディ)

日本で300万枚売れたという「四季」なので今さらという感じだが「イ・ムジチ合奏団」の名演があり、フェリックス・アーヨが主席ヴァイオリンを務めていた時代のものが一番馴染みがいい。

今回の演奏はカラヤン指揮でベルリンフィルハーモニーをバックに主席ヴァイオリンはアンネ・ゾフィー・ムターだったが、イタリア系の演奏のほうがこの曲にはふさわしいように思えた。

第7位「死と乙女」(シューベルト)

晩年、病床にあったベートーヴェンが「シューベルトには神聖な灯がある。」と呟いたのは有名な話だが、この作曲家には独特の雰囲気を持った世界があるといつも思う。

何だか「老人に優しい音楽」とでもいうのかな~(笑)。

百田さんによるとこの曲は「病床の少女と死神との対話」を描いた作品とのことだが、腰を据え静謐感を持ってじっくり耳を傾けるとその良さがわかってくるという。

演奏はアルバンベルク四重奏団。

以下、「後編」へと続く。

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