「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オークション情報~2017・10・22~

2017年10月22日 | オークション情報

オーディオの世界で徒に馬齢を重ねているものの、一方では利点もあるようで、たとえば有名ブランド名を聞いただけでその製品がどういう傾向の音質かおおよそ推察できるようになった。

連綿として続くメーカーのポリシーがきちんと製品に反映されていることに歴史の重みをズシリと感じるが、世界中の数あるオーディオブランドのうち頂点を極めているのが「ウェスタン・サウンド」(アメリカ)だ。

何しろ歴史あるウェスタン社が製作したスピーカーや真空管などはずっと超一流の名前をほしいままにしており、全盛時代の平家(平安時代)のように「平家にあらずんば人にあらじ」をもじって「ウェスタンにあらずんばオーディオにあらじ」とばかりに鼻息が荒い(笑)。

たとえば第二次世界大戦中に軍の通信用として使用された真空管300Bは、人命がかかっているので国策として政府がお金に糸目をつけずに拠出してウェスタン社に作らせたこともあって音質から耐久性まで出力管の王様としていまだに君臨している。

しかも、当時は真空管の材料の中に現在では使用禁止の「放射性物質」などが使われているという噂もあったりで、現代の技術をもってしても再生産は不可能と言われている。

国内では、とことん突き詰めたウェスタンマニアが「うじゃうじゃいる」が(笑)、我が家でもメインとなっている真空管アンプは「WE300Bシングル」なので、ささやかながらその一角にそっと加わらせてもらっている。

このアンプがないと、我が家のオーディオは途端に色褪せてしまうほどの存在感があるが、
その希少な300B真空管が、このほどオークションに大量に出品されていたのをご存じだろうか。

知っている範囲で、300Bの刻印(1940年代前後)モノが4本、1950年代のモノが5本と同一人物からの出品で、これだけ一挙にまとめて出品されるのはまことに珍しい。しかも、ペアではなく1本づつの出品なのでなかなか飛びつきやすい。

さすがに心穏やかならず久しぶりに色めき立った(笑)。刻印は持っていないので、お値段次第だがぜひ欲しい!

刻印というのは真空管のベースの部分に「WESTERN」という印字がプリントではなく刻み込んであることをいう。オークションにもめったに出品されないし、もし程度のいいものならペアで100万円前後が相場である。

こういう高価で希少管の入札には古典管の生き字引である「北国の真空管博士」に相談するに限る。

すると、「取引している業者さんから最近伺った話ですが、これまでは主に海外からの調達に頼っていた古典管ですが、国内で買ってくれという方が多くなったようです。どうやらマニアの高齢化現象のようで、もう必要が無くなったから手放すというのが理由だそうです。300B真空管については今晩オークションの画像をじっくり見させてもらってご返事します。」とのことで、翌日に次のようなご返事があった。

「出品された真空管はすべて測定値が付いてないのであくまでも画像から推察したものです。まず刻印物ですがいずれもかなり使い込んでますね。管の上部に独特のスモークがかかっています。おそらくオーディオ用に使ったものではなくレギュレーター用などで酷使した形跡が伺えます。止めておいた方が無難でしょう。

ほかの1950年代のものでは、2本が程度が良さそうです。番号は〇番と〇番です。ただし実際に鳴らしてみないと何とも言えませんけどね。」

「いやあ、どうもありがとうございました。そういうことなら刻印物は止めておきます。1950年代の2本は入札価格の推移をみて判断してみましょう。」

落札日は17日(火)の夜10時だった。いつも早寝だがこの日はそういうわけにもいかず、ミステリー「失われた図書館」を読み耽りながら、9時半頃からパソコンにくぎ付けになった(笑)。

すると、落札時刻間際になって見る間に入札価格が上がるわ、上がるわ。これではちょっと手が出せませぬ~。

結局、博士ご推薦の程度のいい300B(1950年代)は24万円で落札された!

一方、程度の悪い300Bは12万円程度だったので、入札者たちは実に目が高いと感心した。まったく生き馬の目を抜く世界ですよね~。

それと程度が悪いとされていた刻印物がいずれも40万円前後で落札されていたのには驚いた。

翌日、博士にご注進に及ぶと、「300Bは使いこなしに独特のノウハウがあってとてもうまく鳴らすのが難しい球なんですけどねえ。あんなに程度が悪そうな刻印物がそんなに高値だったとは驚きました。刻印を使っているというだけで気分的に高揚して、いい音だと信じ込む効果も無視できませんが(苦笑)」

「そうなんです。オーディオは気分で左右されるところが大いにありますし、所詮は自己満足の世界ですからねえ。それにしても300Bの高騰状態がこんなに続くとビンボー人にはますます縁遠くなるばかりですよ。」

我が家にはWE300Bのあまり程度がよろしくない「1951年」製が2本、息も絶え絶えの1967年製が1本、元気印の1988年製が2本ある。

どうか「我が命尽きる」まで300Bの寿命が先に来ませんように~(笑)。



 


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