「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

読書コーナー~「セレンディピティ」~

2010年11月20日 | 読書コーナー

「セレンディピティ」(Serendipity) 

何だか舌を噛みそうな言葉だが、折にふれ目にしたり耳にされたことがあるかもしれない。

広辞苑によると、カタカナにもかかわらずちゃんと意味が記載されている。

「思わぬものを偶然に発見する能力、幸運を招きよせる力」とあり、もっとくだいて言えば
「ほかの目的で活動しているときに、当てにしていなかったものを偶然に見つける才能」
といえば少し身近になる。

「果報は寝て待て」、「待てば海路の日和あり」方式の努力しないで得することが大好きな自分なのでこういう便利そうな言葉は放っておけない。

「偶然からモノを見つけだす能力」~セレンディピティの活かし方~(2002年8月、澤泉重一著、角川書店)。

                

ところが、意に反してなかなかまじめな本だった。努力が要らないどころか、むしろ必要とする内容だったので半分がっかりしたが、有用な本だと思ったので記憶に留めておくために要約してみた。

本書では「セレンディピティ」を「偶察力」(偶然と察知力を合わせた著者の造語)として取り扱っている。

まず、表紙の裏の見出しに「世界的発見の多くは”偶然の所産”
だった。」とある。

☆ ”偶然”に感謝するノーベル賞受賞者たち

☆ 
発見・創造の能力とは、偶然を最大限に活かす能力

☆ 
感性を研ぎ澄まし、察知力を養えば偶然は偶然でなくなる

☆ 
異文化との接触は新しい感動と発見を生む

☆ 
誰しもが体験する日常生活での偶然の不思議を想い出そう

☆ 
遊びの中にも偶然の面白さはいっぱいある

ご覧のとおり”偶然”という言葉がひっきりなしに出てきて、なにもかも世の中の事柄すべてが偶然に左右されているようなすごい勢い。

たしかに人生には偶然が支配しているといってよいほど偶然の連続ともいえる。

たとえば自分の場合では就職先の選択ではたまたま出会った知人のアドバイスによるものだったし、通常2年配置の転勤期間が3年となり、1年遅れたばかりに幸か不幸か(?)今の結婚相手と出会ったし、友人・知人との交流のきっかけといった重要な節目には偶然が遠因~原因となっている。

さらには人類に福音をもたらすノーベル賞クラスの大発見にも偶然が大きな要素を占めているとなれば単なる「偶然」も見捨ててはおけない。

自分の記憶にある事例では2002年度ノーベル化学賞を受賞された島津製作所の田中耕一さんも、たしか他の目的で実験を重ねているうちに偶然発見されたものだった。

本書の中でもノーベル賞受賞者の「セレンディピティ」の恩恵に浴した事例が限りなく紹介されているが、
これら受賞者ははじめからこの能力に恵まれていたわけではなく、努力と研究を重ねるうちに自然と身につけたものだという。

一般人の場合でも訓練次第で向上することが可能ということで三つの要点が挙げられている。

 広い視野からものごとを見る

革新的な進歩を振り返ってみると、意外にも専門分野の外と思われたところにその突破口が見出せたという実例が多い。つまり広い範囲で活動できる学際的な素養を身につけることが肝要。

 偶然の活用


偶然がもたらす楽しみは意外性の面にある、繰り返しの単調さから抜け出して通常使っていない能力を発揮する機会が生じることに意義があるので意外性を見逃さない意欲が必要。

 察知力を活かす

セレンディピティ活用の基本ステップとして挙げられている項目の一番に挙げられているのがまず感動」 以下、観察、連想へと続く。

偶然出会った物事に対してまず「感動」が出発点になるというのが面白い。いわば「理」よりも「情」が先行。

そういえば「音楽」と「オーディオ」の関係も、まず音楽を聴いて感動し、もっと「いい音で聴きたい」と「オーディオに昇華していく」ことなので、この順番は納得~。


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