「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

読書コーナー~「図書館からの督促」~

2010年11月02日 | 読書コーナー

ここ2週間ばかりオーディオに熱中して「死闘」(?)を繰り広げていた最中のこと、表に「重要なお知らせ」と書いてあり片隅に「TOYOTA]とある一通の封書が届いた。

開けてみると「ご愛用車のリコールに関するお詫びとお願い」とあった。自分の乗っている車がリコールの対象になったのは初めて。

幸か、不幸かよく分からないが磨耗した燃料系統とブレーキ系統の部品を無料で新品に交換してくれるということなのでこれはまず喜ぶべき事かも。

早速、修理予約したが、トヨタはどうもあのアメリカの事件以降、リコールに寛容〔神経質?)になっているようだ。

今回の場合、純正品以外のブレーキ液を使った場合に不具合が発生するということなので以前の「トヨタ」の対応ならまず考えられないこと。

また、話は変わって同じ頃に今度は図書館から電話。

『予約されていた「雪冤(せつえん)」(大門剛明著)の本が入りました。11月2日まで保管しますのでそれまでに取りに来てください。ただし、現在借りられている7冊の本の返却期限〔2週間)が過ぎています。これらの本をすべて返却しないと予約の本を貸し出しすることが出来ません』

「アレッ、もう返却期限を過ぎてましたか?どうもスミマセ~ン。近日中に急いで返却します」

オーディオの方もやっとキリがついたことだし、せっかく借りてきたのに読まないまま返却するのも癪なので例によって大好きなミステリーを丸2日がかりでザット目を通してみた。

 「お台場アイランドベイビー」(伊与原 新著)

                  

第30回横溝正史ミステリ大賞受賞作である。新聞の書評につられて借りた本だがその激賞ぶりが凄かった。

「・・・その痛快な面白さ。人物それぞれの過去が絡み合うことで、読むほうも情感がゆさぶられ次第に心が熱くなっていく。途方もなく豊かな才能が感じられる小説だ。次世代の日本ミステリー界をリードするであろう逸材、伊予原新に注目!」

いやはや・・・。

これまで、こういう誇大な宣伝文句には書籍意外にもオーディオ機器やCDの紹介などで散々騙されてきた。

いや、騙されたという言い方は不穏当なので、むしろまんまと乗せられたというほうが正しいのかもしれない。

ともあれ、半分懐疑的なものの酷評される本よりはマシだろうと思って借りたのだがやっぱり期待はずれだった。

直下型地震で壊滅状況になった近未来の東京「お台場」が舞台となった冒険サスペンスだが描かれた人物像もわざとらしい作り事のような気がするし現実性のないストーリーの展開にもさして興味が湧かずまったく惹きこまれなかった。

やっぱりSFがかったものは苦手で、小説の中でさえも「リアリティ」を追求する自分には不向きで、読みかけのままあっさりドロップアウトした。

 「誘拐児」(翔田 寛著)

                  

第54回江戸川乱歩賞受賞作。

江戸川乱歩賞は、新人賞ではあるが、時々、すでにデビューを果たしている作家が受賞することもある。本作の著者、翔田氏もそんな一人。

読後感だが、さすがに乱歩賞受賞作品だけあって面白かった。これまで同賞受賞作で大きく期待を裏切られたことはほとんどない。

戦中戦後の混乱期を舞台に、自分の出生に対し疑問を抱える主人公の良雄。自分は誘拐された子供であり、母はその犯人ではないか? 

その疑惑から、事件について、調べ出す。調べれば調べるほどに深まっていく疑惑。一方、西永福で殺された女性。その女性の行動には不審なところがある。仕事を辞め、しかし、大金を手に入れた気配。そして、その理由もまた、誘拐…。事件を追う刑事たち…。

ベテランの味を発揮した著者の表現の巧さなどは流石だし、最後に明らかになる、母の良雄に対する想いも印象的。

「解決が偶然に頼っている」という欠点はあるが、
極貧の中で繰り広げられる母子の情愛にはひたすら胸を打たれた。

著者の次回作が楽しみで、これは5点満点の4点は間違いなし。

 「愛おしい骨」(キャロル・オコンネル)

                 

これも新聞の書評につられて読んだ本。

「17歳の兄と15歳の弟。二人は森へ行き戻ってきたのは兄ひとりだった。二十年ぶりに帰郷したオーレンを迎えたのは、時が止ったかのように保たれた家。誰かが玄関先に、死んだ弟の骨をひとつづつ置いてゆく。何が起きているのか。次第に明らかになる、町の人々の秘められた顔。迫力のストーリーテリングと卓越した人物造形。著者渾身の大作」

読み始めてみるとさすがに女流作家だけあって情景描写が微に入り細にわたって実に巧みに描かれる。

これは大した作家だと読み進むうちに、何だかやたらにもったいぶった表現が段々と鼻についてくる。ちょっと文体も気どりすぎ。

登場人物も次から次に出てきてカタカナの名前を覚えるのもたいへん。しょっちゅう表紙の裏の人物紹介に目がいく。

自分のような大雑把な読み方にはまったく合わないようで、この本はじっくり一語一語をかみしめて情景を豊かに想像しながら読み進めていくタイプの方に向いている。

というわけで、これもあえなく途中で脱落。犯人像への興味があったので結末の部分だけ拾い読みしたが平凡の一言だった。

どうもこの新聞の書評を担当する文藝評論家とは肌が合わないみたいで今回読んだ本のうちの収穫は自分で択んだ「誘拐児」だけだった。

結局、当たりの確率は1/3だがこれはまあまあの線。


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