呑む気オヤジ/蔵王山麓蓬莱庵便り

蔵王山麓暮らしのオヤジの日記。合唱も映画もドライブも温泉も、たまには俳句も・・・😄

観る・聴く・丸呑み!~N響「第九」演奏会~今頃?

2008-02-16 | コンサート・LIVE・演劇などの話
先日の10連休の締めに「敬愛なるベートーヴェン」を観たのだが
その時に「そういえば、年末のN響第九を録ってたっけ!」と思い出した。
来年の話をすれば鬼が笑う。去年の話じゃ、鬼が怒る?
普段から「第九大好き!」なんて豪語しているわりには、こんなもんですよ・・・。
2月も半ばになって大晦日の第九を聴いた。
まぁいいよね、今第九を練習している人もいるんだから。

指揮はアンドリュー・リットン、ソロは角田祐子(S)、石津なをみ(MS)
カン・ヨセブ(T)、キム・テヒョン(Br)、合唱は国立音大生。
番組としては、今回はただ演奏を放映するだけでなく
合唱団にスポットを当てて曲を作ってゆく過程を見せた。
これは初めて?の試みで、なかなか興味深い。
スタジオに日本合唱界の大御所・田中信昭さん(本演奏会の合唱指導)を招いて
「第九合唱の魅力と難しさ」を語らせた。
田中さん曰く、「第九の合唱はとても難しいです」
「歌詞の意味をきっちり理解して感情を込めて歌うことが大事」
そして田中さんが国立音大生を指導する場面が映し出される。
相当厳しい指導だ。
一人ひとり歌わせて、音程や発音の欠点を指摘してゆく。
「音程が定まらないのは、自分の発声を自分の耳で聴いていないから」
「一人が音程を崩すと、全体が崩れる!」
「歌詞の意味をきっちり理解して歌うこと!」
う~ん、第九を歌う身としては、厳しいお言葉・・・。
でもその通り!音程が定まらなきゃ合唱にならない。
どこぞの合唱団のメンバーに聞かせたいね!

しかし合唱の大御所が「難しい」と言う第九。
国立音大の声楽家の学生が歌ってさえ、練習では音程がなかなか定まらない。
この曲を、日本ではシロウトの、しかも年配者中心の合唱団が歌っている。
本来は無理なんだろうね。本当は在り得ないんじゃないだろうか。
確かに歌えば気持ちよく、神々しい気分にもなれる。
名曲中の名曲なので、歌っても感動できるから誰でも歌いたがる。
日本のオケにとっても年末の稼ぎ時、餅代にもなる?
でも、最低限のオーディションをやってメンバーを集め、もっとレベルアップすることも必要では・・・??

前置きが随分長くなってしまったが、肝心の演奏は・・・。
基本的にはとて良い演奏だったと思う。
僕には的確に批評は出来ないが、ドイツ的というか硬質な律儀な第九だったと思う。
指揮者はてっきりドイツ人かと思った(アメリカ人だそうです)。
ソロは男性人がちょっと若いというか、声に重みが足りなかったような気がする。
ソプラノの角田さんって、相当小柄(150cmある?)なのに存在感あるね!
そして合唱、やっぱり声楽家の学生さんたちだ!しっかり歌っているね。
TV放送だから、当然マイクで音を拾い調整した上で流している。
だからホールで生で聴くのとは、全然印象が違うかもしれない。
そういう意味では、やっぱり生演奏を聴くに限るね。

それと合唱のサプライズ!!前代未聞!!
なんとプレストが始まって最初の「ブリューダ!」を音程なしの地声で叫んだ!!
最初僕の聴き間違いかと思ったが、このブログをアップするために
他の方々の「N響第九」の記事を参考に見ていたら、やっぱり「叫んだ」とある。
もう一度録画を観たら、確かに叫んでいる。
これはマエストロ・リットンの演出らしい。
本人が合唱団の若者達に「ブリューダ(兄弟よ)!」と叫ばせたかったようだ。
う~ん、凄いなぁ。確かにこれも「あり」だなぁ。
曲の解釈や演出は、まだまだいろいろあるんだね。
やっぱり「第九」はいいなぁ!

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観る・聴く・丸呑み!~「敬愛なるベトーヴェン」

2008-02-16 | 映画(DVD)の話
敬愛なるベートーヴェン

video maker(VC/DAS)(D)

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「第九」の初演大成功の陰には、ベートーヴェンを深く尊敬し愛する若き女性の存在が・・・。
この映画は、封切の時にぜひ映画館で観たかった。
でも結局都合が付かず1年も観ず終いのままだった。
漸くDVDで観賞することができた。

「交響曲第九番~合唱つき」の初演を4日後に控えた1824年3月某日。
まだ第4楽章の合唱部分のパート譜が完成していない。
偏屈でひねくれ者のベートーヴェンは、音楽工房のシュレンマーに当り散らし至急写譜師を寄こすよう命じる。
そこで派遣されたのが、音楽学校で作曲を学ぶアンナ・ホルツだ。
最初のうちベートーヴェンは、アンナの若さや女性であることを理由に本気で相手をしないが
その類稀なる才能に気づき、次第に頼りにし始める。
何とか楽譜を間に合わせて「第九交響曲」初演の本番に臨む。
しかしほとんど耳が聞こえず、指揮することに自信を失くしているベートーヴェンに
アンナは自分が曲の「入り」と「テンポ」を指示することを申し出る。
そしてアンナの的確な指示により、ベートーヴェンは恙無く最後まで指揮することができ
「第九」の初演は大喝采、大成功のうちに終了する・・・。
ベートーヴェンの粗野で偏屈なところを疎いながらも、その大いなる才能に惹かれ
またベートーヴェンもアンナの作曲家としての高い能力を認め
作曲家と写譜師、師と弟子の関係を超越したお互いの尊敬と敬愛を抱き始める。

もちろん史実にアンナは登場しない。
しかし、いかに偏屈オヤジとはいえ、あれだけの天賦の才能を持った大作曲家に
アンナのような人物がいてもいいではないか、と思えてくる。
「第九」初演のとき、舞台の目立たない陰からベートーヴェンに指揮のタイミングを指示するアンナが
あたかもこの感動的な名曲を自分が指揮しているように、あたかもベートーヴェンと溶け合ったように
恍惚とした表情で手を振るシーンが印象的だ。
「第九」大好きオジサンとしては、このシーンは涙なくして観ることができなかった。
うん、ベートーヴェンも耳が聞こえないのに頑張った!アンナ、君も名演だ!Bravo!!
ただ、映画としてはエンディングにちょっと唐突感が無きにしも非ずだった。
風そよぐ草原を颯爽と歩き渡るアンナ、その背中をカメラが追いかけながら「第九」がクライマックスに差し掛かる。
そしてそのままエンドロール・・・。
う~ん、ちょっと消化不良だなぁ~。
監督のアニエスカ・ホランドさん(女性)、最後はなにが言いたかったんだろう・・・?
コメント (1)
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