ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2014.3.14 駐輪場も卒業シーズン

2014-03-14 20:07:05 | 日記
 最寄駅前の駐輪場は、夫と息子が毎朝お世話になっている場所だ。
 管理運営は市のシルバー人材センターだから、数人の60代以降の男性が早番遅番のシフトを組んで働いておられる。

 中学1年から高校3年までの6年間、ほぼ毎朝(ちょっとやそっと雨が降ろうとなんのその!で)息子がお世話になっていた。
 「挨拶だけはきちんとせよ!」と口を酸っぱくして言ってきかせていたせいか、中学生になりたての頃はまだ借り物のような大きい自転車に跨って、夫と一緒に乗り付けていたからか、早々に親子ともども顔を覚えて頂いた。特に息子のことを可愛がってくださり、目をかけて頂いていたという。

 骨転移の身で転んだら怖いということと、手の痺れという副作用のせいかすっかり握力が落ちてしまい、ブレーキをかけることに自信がなくなったため、すっかり自転車に乗らなくなった私は、どなたともお目にかかったことがない。夫から聞くところによれば、中にお一人とても優しい方がいらして、幾度となく息子の自転車を出し易い場所に移動してくださったり、夫の自転車の隣に並べてくださったり、天気が悪い時には、濡れない位置に移動してくださったり、という気遣いをして頂いていたようだ。

 夫がその方から「今度、卒業なのですよ。」と聞いてきた。教えて頂きながら、そのままにするわけにはいかない。御礼かたがたちゃんとご挨拶をさせたい、と思い、「いつまで出ていらっしゃるのか確認してきて。」と頼んでおいたところ、別の方からこの日の仕事が最後の出勤日であると聞いた。
 そして、その日の朝、心ばかりの春らしいお菓子をもたせて夫と一緒に挨拶に行かせた。
 息子自身、この春の大学進学をもって、この駅前駐輪場を卒業することになっているからだ。

 2人でご挨拶に伺ったところ、息子の大学進学をとても喜んでくださり、持参したお菓子をお渡しすると、申し訳ない、ととても恐縮されて、では入学祝いに、と息子にお金をくださったという。「とんでもない、困ります。」と言ったけれど、ポケットに捻じ込まれてしまって返せなかった、と息子。
 せっかくのお気持ちなので、頂いたお金を4月から仕送り用に開設する通帳に貯金することにしたそうだ。
 その足で郵便局に出向き、真新しい通帳を作ってきた。

 まだまだ寒い3月ではあるけれど、こんな暖かい触れ合いに胸が熱くなる。
 自分という人間が、一体どれほど沢山の方たちから支えられて今日までやってこられたか、ということに謙虚に気づき、素直に感謝しながら、4月からの新しい生活、希望をもって始めてほしい、と思う。

コメント (2)
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