ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2014.3.25 立ち止まっていても前は向ける~ハクモクレンを見て想うこと

2014-03-25 20:28:32 | 日記
 昨日、人事異動がオープンになった。
 例年のことながら、なんとなく職場の雰囲気がフワフワしていて落ち着かない。
 異動組は、新しい職場に不安と期待を抱きながら引き継ぎの準備に追われ、残留組は、新しい出会いはいかに、と思いつつも繁忙期の業務を淡々とこなす。

 これまで四半世紀以上仕事を続けてきて、異動年限を超えそうなのは初めてのことだ。
 21年5月に休職明けで今のポストに就き、この5月で丸5年を迎える。職場の人事異動方針によれば、“同一ポスト5年以上の職員は異動させる”となっているから、21年4月の定期異動による着任であったならば、この4月は異動が免れなかったことになる。

 が、冷静に考えてみれば人事サイドとしても、いつ何どき突然入院をするかもしれない再発進行乳がん患者を重要ポストに置く、などという冒険はしないだろうな、とも思う。

 今は職住近接であり、慣れた仕事であるので、こうして治療と家事をしながら、何とか日々バランスをとりながら働き続けることが出来ているわけだ。
 これが本庁までの往復3時間の通勤時間が加われば、自分の体調をキープするだけで精一杯になり(それすら厳しいかもしれない。毎日ということになれば、前泊という裏ワザだって使えない。引越しもあり得ない。)、もろもろの家のことまで手が回らなくなるであろうことは火を見るより明らかである。
 この4月から息子が家を出ることになり、夫と2人の生活になるから、今までよりは自分の時間が増えるとはいってみても。

 もちろん、どんどん新しい仕事をしながらキャリアを積んでいく人たちが眩しく見えないといったら嘘になる。こんなに守りに徹したいわゆる“死に体”のような姿勢を貫いていているばかりで良いのか、と情けなく思うこともある。

 が、立ち止まっているだけではないと思いたい。同じ場所でも周囲の陣容が変われば見えてくるものは違ってくる。

 再発する迄は大抵2年、短ければ1年、長くて3年の異動を繰り返してきた。数えてみるとこの仕事は14番目。こうして5年近くも同じポストにいる今、日々がさぞマンネリなのでは、と思われるのかもしれない。けれど、我ながら不思議なことに、今の仕事をしながら毎年、そして日々、新しい発見があることに驚かされる。
 いや、今までずっと走り続け過ぎて、傍らにあるものをきちんと見ずにきたのだろう、と反省する。

 立ち止まっているように見えても、考えることは出来るし、工夫することもできる。
 同じ場所に根を張りながら前を向いて、アンテナを張り巡らせ自分のすべき仕事をきちんとこなすこと。そして、精神的にも体力的にも余裕がある時には、若い人たちの手助けもすること。今、私が出来ることはこれが全てだろうと思う。

 来年度1年間働けば、今の身分でこの職場にいられる期限である10年がやってくる。
 その時になったら、もう少し真剣にその後の身の振り方を考えなければならないとも思う。

 が、再発治療と同様、考え過ぎてみても仕方のないことだ。
 まずは、あと1年、緊急入院することなく、通院治療を続けながら、確実に今の体調がキープ出来ればそれだけで万々歳であると思う。

 朝、学内のハクモクレンの蕾が、青空に向かってすっくと延びていく凛々しい姿を見て、そんなことを考えた暖かな春の日である。
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