今日の勤務を終えて、帰り道を歩き始めた時のこと。背後から「お疲れ様でした~」と同じ事務室の同僚が自転車で爽やかに駆け抜けていった。「お疲れ様」と答えたか答えないかのうちに、あっという間に彼女の姿は闇の中に消えていった。
そういえば私も自転車で職場に通っていたことがあったな・・・と、懐かしく思い出した。
息子の保育園の送迎時代のことだ。小さかった時は前かごに乗せて、だんだんしっかりして体重が重くなってからは後ろの椅子に座らせて。 春は緑の中、風を切るのが気持ちよかった。夏は汗でグッショリになった。秋は落ち葉を踏んで走った。冬は本当に風が冷たく、頬も手もかじかんだ。雨の日も前と後ろに子供を乗せて、カッパを着ている勇敢なお母様もいらしたが、私は転びそうでとても怖くて乗せられなかった。
前かご時代はアンバランスで、いきなり立ち上がられて支えきれず転んでしまったこともあった。保育園の真ん前だったから不幸中の幸いだったが、慌てて泣きわめく息子を抱き上げて看護師さんのところへ走った。すぐに息子はケロリとしてしまったので、そのままお預けして何かあったら連絡を、と何とか遅刻せずに出勤した。ふと足元を見るとストッキングは伝線しているわ、擦りむいて血が滲んでいるわ・・・だった。
そんな息子が中学生になって以来、毎朝、祖父から入学祝に贈られたママチャリに乗って、夫とともに最寄駅まで猛スピードで飛ばしている。雨の日は傘を差し、強風の日も。滑って転ぶのではないかと気が気でないのは私だけのようだ。
そんな私も、一昨年の初めあたりまではオフの日には自転車に乗っていた。車のない我が家にとって、休日の買い物に自転車は必需品だった。自宅付近は、周りが全部公園ではないかと思われるほど緑が多い。春の新緑、秋の紅葉と、遠出しなくともちょっとサイクリングをすれば四季の移ろいが楽しめる。だから、季節の良いときには、家族でちょっとしたサイクリングに出かけるのが娯楽の一つだった。私はそれほど遠出が出来なかったけれど、夫と息子が、裏道やらちょっとした穴場のサイクリングロードを見つけてきては、「坂道はそんなにきつくないし、景色が綺麗だし、楽しいからお母さんも一緒に行こうよ。」と誘ってくれたのが今は懐かしい。
が、各種ホルモン剤の副作用で手のこわばりが酷くなり、気付けば握力がすっかり衰えてしまった。もちろんタキソテールの副作用の痺れもあったのかもしれない。
ペットボトルのふたが開けられなかったり、握っているはずのものをするりと落としたり、ということがいまだにある。そして、自転車のブレーキがきちんとかけられなくなっていた。握力がなくなっているので、転びそうになった時に自分の体重と自転車を支えきれないのでは・・・、という恐怖感が出てきた。
なんといっても骨転移がある身だ。胸骨と鎖骨。転んで骨折するのが何より怖い。普通の健康な骨なら、ポッキリ綺麗に折れるのでくっつきやすいというが、こと骨転移した骨はグシャリと折れるそうだ。だから、折れてしまったらくっつかない。それを聞いて、自転車に乗るのを止めた。
それまで私が乗っていた自転車は、今は夫が乗ってくれている。買い出しは基本的に生協宅配に変え、不足分の重いものは夫が請け負ってくれている。
そんなわけで、今の私が頼りにしているのは、まさに自分の2本の脚だけである。人は足から衰える、というがこれが衰えてしまったら、車もない、自転車にも乗れない、のないないづくし。きちんとメンテをしながら大切に使わなくては、と思う。
そういえば私も自転車で職場に通っていたことがあったな・・・と、懐かしく思い出した。
息子の保育園の送迎時代のことだ。小さかった時は前かごに乗せて、だんだんしっかりして体重が重くなってからは後ろの椅子に座らせて。 春は緑の中、風を切るのが気持ちよかった。夏は汗でグッショリになった。秋は落ち葉を踏んで走った。冬は本当に風が冷たく、頬も手もかじかんだ。雨の日も前と後ろに子供を乗せて、カッパを着ている勇敢なお母様もいらしたが、私は転びそうでとても怖くて乗せられなかった。
前かご時代はアンバランスで、いきなり立ち上がられて支えきれず転んでしまったこともあった。保育園の真ん前だったから不幸中の幸いだったが、慌てて泣きわめく息子を抱き上げて看護師さんのところへ走った。すぐに息子はケロリとしてしまったので、そのままお預けして何かあったら連絡を、と何とか遅刻せずに出勤した。ふと足元を見るとストッキングは伝線しているわ、擦りむいて血が滲んでいるわ・・・だった。
そんな息子が中学生になって以来、毎朝、祖父から入学祝に贈られたママチャリに乗って、夫とともに最寄駅まで猛スピードで飛ばしている。雨の日は傘を差し、強風の日も。滑って転ぶのではないかと気が気でないのは私だけのようだ。
そんな私も、一昨年の初めあたりまではオフの日には自転車に乗っていた。車のない我が家にとって、休日の買い物に自転車は必需品だった。自宅付近は、周りが全部公園ではないかと思われるほど緑が多い。春の新緑、秋の紅葉と、遠出しなくともちょっとサイクリングをすれば四季の移ろいが楽しめる。だから、季節の良いときには、家族でちょっとしたサイクリングに出かけるのが娯楽の一つだった。私はそれほど遠出が出来なかったけれど、夫と息子が、裏道やらちょっとした穴場のサイクリングロードを見つけてきては、「坂道はそんなにきつくないし、景色が綺麗だし、楽しいからお母さんも一緒に行こうよ。」と誘ってくれたのが今は懐かしい。
が、各種ホルモン剤の副作用で手のこわばりが酷くなり、気付けば握力がすっかり衰えてしまった。もちろんタキソテールの副作用の痺れもあったのかもしれない。
ペットボトルのふたが開けられなかったり、握っているはずのものをするりと落としたり、ということがいまだにある。そして、自転車のブレーキがきちんとかけられなくなっていた。握力がなくなっているので、転びそうになった時に自分の体重と自転車を支えきれないのでは・・・、という恐怖感が出てきた。
なんといっても骨転移がある身だ。胸骨と鎖骨。転んで骨折するのが何より怖い。普通の健康な骨なら、ポッキリ綺麗に折れるのでくっつきやすいというが、こと骨転移した骨はグシャリと折れるそうだ。だから、折れてしまったらくっつかない。それを聞いて、自転車に乗るのを止めた。
それまで私が乗っていた自転車は、今は夫が乗ってくれている。買い出しは基本的に生協宅配に変え、不足分の重いものは夫が請け負ってくれている。
そんなわけで、今の私が頼りにしているのは、まさに自分の2本の脚だけである。人は足から衰える、というがこれが衰えてしまったら、車もない、自転車にも乗れない、のないないづくし。きちんとメンテをしながら大切に使わなくては、と思う。