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生き生き箕面通信

大阪の箕面から政治、経済、環境など「慎ましやかな地球の暮らし」をテーマに、なんとかしましょうと、発信しています。

生き生き箕面通信1062 ・ギリシャの危機をめぐって”大空騒ぎ”

2011-11-04 06:50:40 | 日記
おはようございます。
生き生き箕面通信1062(111104)をお届けします。

・ギリシャの危機をめぐって”大空騒ぎ”

 本日の朝刊各紙の一面トップは、すべて「ギリシャ危機問題」です。朝日も読売も「ギリシャ国民投票撤回」を主見出しにしました。主要20か国・地域の首脳があたふたと集まり、G20サミットもフランスのカンヌで開かれ、野田首相も駆けつけました。世界の大問題、資本主義の未曽有の危機と、なんだか緊迫しているようです。

 こういう姿を「大空騒ぎ」というのでしょうか。「おおぞら・さわぎ」ではありません。「おお・からさわぎ」です。つまり、パフォーマンスにすぎない。「もう、いい加減にしなさい」といいたいくらいです。

 その証拠に、欧州の株式は上がっています。本日の日経朝刊には、一面でベタ記事ながら「欧州株が続伸、利下げを好感」の見出しで、株が引き続き上がっている、と伝えています。朝日は経済面(8面)で、「欧州株が大幅上昇」、読売は2面で「欧州市場乱高下」の見出しで、いずれも3段扱い。要するに、最も儲けに敏感な人たちは、先行き高くなると読んでいるのです。
ついでながら、読売の「乱高下」の見出しは、市場が混乱している時の表現であり、ここは「大幅上昇」でなければ正確な見出しといえず、「下手な編集」、つまり落第です。

 ギリシャ危機収束の目途は、とっくについています。欧州金融安定基金(EFSF)の支援枠拡大が決まった段階で、ギリシャがデフォルト(債務不履行)しても大丈夫、というセーフティネットが張られ、「ザッツ・オール」。

 では、なぜいま、G20まで開いて「大空騒ぎ」するのか。ギリシャ国民に対して、「世界の首脳が大変に心配しているよ。世界に迷惑をかけないためにも、緊縮財政と生活切り詰めをがまんしてね」と分かってもらうこと。さらに、続くイタリアやポルトガルの国民にも、緊縮財政に協力しないと、ギリシャみたいになるよ」と分かってもらうこと、があります。

 また、最もやっかいな「世界の投機マフィア」に、「市場ルール」を守らせるパフォーマンスでもあります。今回のギリシャ債務問題も、投機筋が仕掛けた面が強い。混乱の根っこには、いつも投機筋がいます。


生き生き箕面通信1061 ・原発再稼働へ前のめりの読売新聞

2011-11-03 07:07:47 | 日記

 おはようございます。フクシマ原発2号機で核分裂反応が起きていた疑いがある、と東京電力が昨日発表しました。年内の事故収束をめざす工程表達成がむずかしいかもしれない、と見られています。これは情報隠ぺいの小出しであり、工程表未達の場合の布石ともみえます。
 生き生き箕面通信1061(111103)をお届けします。

・原発再稼働へ前のめりの読売新聞

 読売新聞は本日の社説でついに「原発再稼働が不可欠だ」という見出しをつけました。「原発推進」を再び、強く、明確に打ち出したのです。いかにも前のめりの感を否めません。

 日本の「原発推進」はメディアでは読売新聞が先導役を果たしてきました。原発問題では、ジャーナリズムを担ってきた立場からの大きな責任があります。しかし、フクシマ原発事故で「メディアとしての責任」に対する言及はありませんでした。知らぬ顔の半兵衛で、素知らぬ振りを押し通しました。今後、原発の大事故が起きた場合、推進した読売はどんな責任を取るというのでしょう。そもそもそんな覚悟があるでしょうか。

 社説は、原発が動かなければ電力不足に陥り、大変なことになるぞ、という例の脅しを前面に押し立てました。「電力不足は、景気悪化や産業空洞化などで経済に打撃を与える」という原発推進派の”錦の御旗”に続けて、こう断言しました。「安全を確認できた原発から再稼働を急ぐ必要がある」と。

 驚かされる記述も盛り込んでいました。政府が原発の耐震性などを改めて点検する方針を示したことに対し、「安全性のハードルを上げる姿勢には疑問符がつく」とクレームをつけました。要するに、「もう安全、安全と言わんでもええやないか。はよ、再開せえや」というぞんざいな態度です。

 この社説には、どうすれば原発を動かさずにエネルギーをまかなえるか、今後半世紀先にどんな社会を創っていくのか、という将来展望はありません。ただ、目の前の電力不足を口実として、「原発再稼働を求める」という一方的な主張です。

 読売のドン、ナベツネ氏が論説委員の尻を叩いている図が見えるようです。

 しかし、「もう読売新聞は読まない」と、購読中止を決める読者が増えないか、心配です。ナベツネ氏は「それでも構わん」と、あくまでも突っ走るつもりでしょう。太平洋戦争の時に「あくまで戦争継続。一億総火の玉。本土決戦。鬼畜米英なにするものぞ」と、猪突猛進した時に何やら似てきました。


生き生き箕面通信1060 ・そそくさと玄海原発4号機の運転再開

2011-11-02 06:51:35 | 日記

 おはようございます。
 生き生き箕面通信1060(111102)をお届けします。

・そそくさと玄海原発4号機を運転再開

 九州電力は昨日、停止中の玄海原発4号機の運転を深夜に再開しました。これを大手メディアはどのようなスタンスで報じたか、検証します。

 まず読売新聞(大阪版)は、一面3段で事実を伝えただけ。それも、「発表によると」と九電側の言い分を伝え、そのうえで「九電の山元春義副社長は、一部自治体から『性急過ぎる』の声もあったが、『地元理解は得られた』として再開を決めたという」と、九電側の言い分だけを掲載して、おしまい。

 朝日新聞は、ましでした。一面で取り上げた記事のリードの部分でも、「2,3号機の再開をめぐる『やらせメール』問題も収束しない最中。慌ただしさの背景に、経済性を優先する九電の姿勢が浮かぶ」と、メディアとしてのきちんとした”眼”があります。

 「地元の了解は、ある意味必要ない」と記者会見で漏らした九電原子力発電本部の豊嶋直幸部長の発言も、朝日は記事にしました。

 さらに、原発が立地する地元の岸本・玄海町長が昨日、「4号機については国から安全性の確認を得た」と明言したこと、枝野経産相が同じ日、「地元と協議した上で事業者(電力会社)が決めること」と述べたことも記事にしました。

 こうした一連の記事を読み合わせると、枝野大臣はあらかじめ九電に対し、「地元の了解があれば、運転再開は認める」と”ゴーサイン”を出していたこと、それに基づいて「地元の了解は得られた」と強弁して原発の運転を再開した、ということが分かります。

 うがった見方をすれば、原発推進をしたい経産省と、採算優先・経営優先の九電の思惑が一致した”深夜の出来レース”といえるわけです。

 読売新聞がたっぷり紙面を割いたのは、原発防災区域拡大のニュースです。2,3面で大きく扱ったうえ、社説でもこの区域拡大を「教訓を事故への備えに生かせ」という見出しで取り上げました。驚いたことに、「関係自治体が増えれば、政府が原発の運転を認めても、同意しない地域もでてくるだろう」と”懸念”を示し、これまで自治体と安全協定を結んできた「地元同意」の方式は改めるべき、とまで提言しています。つまり、地元の同意が取れなくても「原発は推進できるようにせよ」というのです。

 読売新聞は、「『原子力の平和利用』は読売が主導してきた」という、社主・正力松太郎以来の”誇り高き自負”を、いまこそ紙面に反映させなければならないと使命感に燃えています。

 フクシマ原発事故の十分な検証も終わっていないなかで、なぜかくも原発に前のめりになる人々が少なくないのでしょうか。単なる経済的利益優先だけなのでしょうか。



生き生き箕面通信1060 ・TPPの先行きを暗示するアメリカの歴史

2011-11-01 06:48:40 | 日記

 おはようございます。国連のユネスコ(教育科学文化を通じて世界平和を実現しようとする機関)が、パレスチナの加盟を正式に承認しました。アメリカはこれに反発して拠出金を拒否すると声明しました。
 生き生き箕面通信1060(111101)をお届けします。

・TPPの先行きを暗示するアメリカの歴史

 オバマ政権が日本をTPP交渉へ誘い込もうとしている狙いは、「日本市場をまるごといただき」にあると見ています。アメリカが今も西漸(せいぜん)運動のエネルギーをたぎらせていることは、先日10月26日の1053号で触れました。

 「西漸運動」とは、東で起こった文化が西へ伝えられてきたことを表現する、れっきとした歴史学の学術用語です。ギリシャ文明はローマに伝えられ、西欧で花開き、イギリスからは清教徒たちが大西洋を西へ航海してアメリカ大陸の東海岸へ渡りました。その後は「フロンティア精神」なるエネルギーのおもむくまま、「西へ西へ」と先住民(インディアン)を駆逐しつつ西海岸まで領土を拡張し続けました。ジョン・ウェインの西部劇映画などにみられた「クリアランス・アンド・プランテーション」といわれる、先住民を一掃(虐殺を含む)して植民した動きです。

 西海岸まで到達した後は、太平洋を越えてアジアへ、という流れです。いまやアメリカ経済はボロボロです。アジアの富をなんとかして手に入れようと切羽づまっています。

 これまで金融ルールを変えてやりくりしてしてきましたが、もう追いつかなくなった。新たに別のルールをつくる必要に迫られています。

 アメリカが西部開拓でやってきたことは、インディアンの部族と一応契約を結んで”合法的”に土地を取り上げ、駆逐してきました。今度は「TPP」という協定で、一気に非関税障壁を取り払ってしまう戦略なのです。

 アメリカ独立当時の大統領は、みんな「黒人奴隷」を所有するプランテーションの裕福な地主たちでした。初代のジョージ・ワシントンもそうです。そして、独立宣言では「人間固有の自由や平等」を高らかにうたいあげたものです。その時の人間には、黒人奴隷や先住民は含まれていませんでした。

 第2次世界大戦の最中には、アメリカに住んでいた日本人は「強制収容所」に隔離されました。「9・11」後は、イスラム系の人々が各地でさまざまな差別被害を受けています。

 黒人の血が混じっているオバマ氏を大統領に認めるところまで寛容さを持つにいたったアメリカは、高く評価されます。その一方、いまだに人種差別が厳然と存在することも事実。

 話を戻しますと、TPPは「アジアの成長力を取り込む」、なかでも「蓄積した日本の富をいただきたい」という戦略が動き出したのです。日本の中の「TPP推進者」は、アメリカの論理のなかでメリットを享受できると見込んでいる人たちです。

 経団連の会長である米倉弘昌氏は住友化学の会長であり、住友化学は米国のモンサント社と強い結びつきを持っています。モ社は、遺伝子組み換え作物の種では世界の90%のシェアを持つ独占企業として猛威を振るい、アメリカ農民をコントロール下におさめました。ベトナム戦争時には「枯葉剤」を製造・供給しました。TPPが結ばれると、住友化学はモ社の遺伝子組み換え作物の種を「非関税障壁」を突破して、日本市場に流し込むことになります。モンサントはべらぼうに安い種を供給します。その代わり、毎年その種を買わなければならない。日本の農業は、あっという間にモンサントに支配されます。

 グローバリズムのもとで利益を上げるグローバル企業は、自国の国益など眼中からなくなっています。儲かるところで儲ける、というシンプルな原則で動いています。

 「TPP」とはそういうものです。