生き生き箕面通信

大阪の箕面から政治、経済、環境など「慎ましやかな地球の暮らし」をテーマに、なんとかしましょうと、発信しています。

生き生き箕面通信1065 ・「人身取り引き大国・ニッポン」という現実

2011-11-07 06:40:28 | 日記

 おはようございます。朝日新聞の社説が、本日から毎週1回「政治を鍛える」という提言シリーズを企画。一回目の本日は「民主主義の技量を磨く改革」という見出しで、「政治には『聞く、選ぶ、説く』力が求められる」と提言しています。物足りないのは、メディア自身、朝日新聞自身が「真実を『伝える』力を磨く改革」に言及していないことでした。
 生き生き箕面通信1065(111107)をお届けします。

・「人身取り引き大国・ニッポン」という現実

 「日本は『人身取り引き大国』である」と国連でも認定されているのが、日本の一面だそうです。「人身取り引き」とは、人を力によって支配し、売春や労働をさせるために人を”取り引き”すること。つまり、現代版「人身売買」」です。日本は「人身売買大国」なのです。

 日本での人身取り引きは、さまざま巧妙な手口で広がっている。政府の「研修生制度」をも悪用し、受け入れた研修生を借金漬けにして低賃金で長時間労働させる。よくある例は貧しい国からの女性を”買い入れて”、パスポートを取り上げたうえで売春させたり、です。

 朝日ニュースター「ニュースの深層」というテレビ番組が先日(11月2日)、この「人身取り引き」を取り上げていました。ヒューマン・ライツ・ウォッチの土井香苗さんが、ポラリスプロジェクトの藤原志帆子代表にインタビューするという形でした。

このインタビューの中で驚かされたのは、「歴史的に見ても、現代は最大規模の人身売買が行われている。見えにくいけれど、実質的には最大規模の『奴隷制度』が存在する」という指摘。通常は「人身取り引き」という用語を使うそうで、英語では〈ヒューマン・トラッフィキング〉。人を支配下に置き、売春や労働をさせること、です。

 かつては、フィリピンやインドネシアなどアジアの貧しい国からの女性が多かった。最近は、ルーマニアや、コロンビアなどからと広がっている。「日本に行けば、いい働き口があるよ。いい暮らしができるようになるよ」と”誘惑”や”だまし”で送り出し、受け入れ国の日本では「逃げだせばイタイ目に合わせるぞ。お前の国の家族もえらい目にあうぞ。売春していたことをばらすぞ」と”脅迫”。そのうえ「借金漬け」や「パスポート取り上げ」で身動きが取れないようにする。HIVなどの感染し身体をこわしても、何の補償も手当もない。

 国際犯罪の市場規模では、「麻薬」がトップで、2位が「人身取り引き」、3位が「銃」だそうです。そのくらい多くの取り引きが行われている。経済的に豊かな国、アメリカ、ドイツなどでも「人身取り引き市場」の規模は大きいそうです。「家族のために出稼ぎに行く」という人が罠にはまる。つまり、背景には貧困があります。

 日本では、外国人ばかりでなく、日本人少女の「取り引き」も増えている。取り締まりは、警察や入管局の担当だけれど、人手不足で追いつかないそうです。しかし、少女たちが警察に訴えても、「事情を聞きおく」だけで、「守ってくれずに帰される」という現実もある。

 人身取り引きがほとんど見られない国もある。たとえばベネルックス3国(ベルギー、オランダ、ルクセンブルグ)など。社会的に「人身取り引き」を排除する教育が行き届き、行われない。
一方、日本には「安く性を買う」という旺盛な需要があるのです。

 雇用状況が悪化したままの状態が長引く日本では、「人身取り引き市場」は大きくなる方向のようです。