おはようございます。ブータンのワンチュク国王が今日、新婚旅行で来日します。国民総幸福量(GNH)を自ら考案・提唱し、国政に現実に生かしています。ブータンの世論調査では国民の90%が「幸せです」と答えています。本当にそう思っているようです。
生き生き箕面通信1072(111115)をお届けします。
・さすが動きが速いアメリカ――早くも負け続けの日本
すでに第1ラウンドの勝負はつきつつあります。TPP(環太平洋経済連携協定)に実質「参加」を表明した日本ですが、早くも強烈なアッパーカットを食らい、グラッグラッときました。具体的には「牛肉、簡保、自動車」の3分野についてです。アメリカの見事な先制攻撃です。
さらにアメリカが見事なのは、ホワイトハウスが仕掛けた情報戦です。日米首脳会談を受けて、ホワイトハウスは「野田首相が例外なき貿易自由化について協議すると約束した」と発表しました。日本側は「あっ」と驚き、あわてて訂正を求めました。ホワイトハウスも一応訂正してみせました。しかし、世界に「日本の例外なき自由化」の印象が刷り込まれました。アメリカは、意識して自分が流したい情報を流したのです。「例外なき自由化」は、日本側が死守しようとする「コメ」についても例外は認めない、ということを意味します。情報は「流した者勝ち」です。
野田首相は「守るところは守る」と言っています。頼もしい。だけど、結果は、負け続け。それでも「守るところは守る」といい続けます。
いい例が、野田さんはオバマさんとの会談で「牛肉の輸入についてはすでに事務当局で検討を始めました」と明言しました。日本人には初耳です。これで、危ないBSE牛肉が入ってくる可能性は格段に高くなります。BSEは牛海綿状脳症、よく狂牛病といわれてきたものです。アメリカはこれまでも、日本の牛肉輸入規制の緩和を執ように求めてきました。ハワイでは今回、枝野経産相が米牛肉産地のテキサス州出身下院議員ブレディ氏から強く市場開放を求められた、と伝えられています。月齢20か月以下としていたものを、30か月まで緩めることになります。日本は防戦一方で、歯が立ちません。予想通りの点火です。
今後、前面に立ってさらに攻撃を仕掛けてくるのは、米通商代表部のカーク代表です。まず「当面、牛肉、簡保、自動車に強い関心がある」と、黒光りした顔で舌舐めずりしながら要求を突き付けてきました。
日本側は「国益を守る」といいますが、肝心の「国益」が何であるのかまったく明らかにしていません。おそらく「コメ」は国益なのでしょう。だけど、それすら「自由化した方が農業改革になる」という根強い意見が民主党政権内にすらあります。前原、仙石、枝野、玄葉氏らを始め、多くの中枢議員が市場開放やむなしのハラであり、むしろ「外圧」を利用して農業改革を狙っています。簡保も、今度こそやられるのでしょう。野田どじょうはとっくに承知なノダ。
今日、来日するワンチュク国王の国、ブータンは「ゴーイング・マイウエイ」です。物質的な豊かさではなく、「心の豊かさ、精神的な豊かさ」を大切にする国づくりを進めています。
アメリカでは、職につけない若い人を中心に、「ウォール街を占拠せよ」と、金融資本、強欲資本主義を告発しています。以前、映画監督のマイケル・ムーア氏が自作の映画「キャピタリズム」で、「占拠せよ・運動」を呼びかけました。「強欲資本主義の最上階、ペントハウスに居るのはゴールドマン・サックスだ」と”摘発”しました。そして「もういいかげんにしろ」(Enough is enaough!)と叫びました。
しかし、日本はこれからアメリカの失業者・若者の立場になりに行くのです。アメリカさまのありがたいご配慮に、どじょう首相とともに感謝しましょう。