おはようございます。
生き生き箕面通信2301(150411)をお届けします。
・大砲を校章にしているフランスのあるエリート大学
パリの郊外にあるエコール・ポリテクニークは理工系のグランゼコール(高等専門教育機関)のひとつで、1794年、ナポレオンによって創設された古い歴史をもっています。フランス軍を指揮するナポレオンが、当時の最大の武器である大砲の技術者を養成するために設立したのです。
実は息子がここの准教授をしているので、昨日4月10日は研究室などを見に行ってきました。
ジスカール・デスタン・元フランス大統領やカルロス・ゴーン・日産自動車CEOなど数多くの偉才を輩出していることで知られています。毎年7月14日の独立記念日に行われる凱旋門からコンコルド広場までのシャンゼリゼ行進では、先頭をパレードする栄誉が与えられています。
このパレードの時には、ナポレオン軍当時を思わせる金ボタン付き上下黒の着衣に、特徴のある二角帽子コックド・ハットをかぶり、サーベルを提げた正装で行進し、なかなかの壮観です。
アメリカのマサチューセッツ工科大(MIT)は、エコール・ポリテクニークをモデルに創設されたのですが、日本の東京大学も設立にあたってはモデルの一つにしました。今では東大とエコールは国際交流協定を結んでおり、息子はその制度によって留学したのでした。
そしていまは、留学卒業した”母校”で、経済学の研究生活です。下の写真はその研究室。
ちょっとびっくりしたのは、校章が大砲2門をX時に組み合わせたデザインだったことです。ナポレオン由来の影が今も残り、キャンパスの中には軍人の銅像や胸像を結構見かけました。
フランスは周りの国々とは地続きで、中世以前から戦争が絶えませんでした。パリがヒトラー・ドイツなどに占領された歴史もあります。映画「パリは燃えているか」は、ドイツの将軍がヒトラーの命令に背いてパリを破壊から守ったエピソードを映像にしたもので知られています。
戦争の悲惨さを教訓として、かつての敵国ドイツとも和解の道を進み、欧州連合(EU)の設立、発展につくしました。イラク戦争に対しては、フランスはドイツ、ロシア、中国などとともに攻撃に激しく反対し、国連による武器査察を継続すべきと主張しました。しかし、アメリカは「大量破壊兵器がある」と譲らず攻撃に踏み切り、フセイン政権をつぶしました。が、結局、大量破壊兵器は存在しませんでした。アメリカは、イラクの石油を強奪した結果でした。
フランスは、アメリカにあがらってもできるだけ平和を維持する外交に重きをおいているように見受けます。どこかの国のアメリカのポチ公外交とは大きな差です。
これは単に「地続きの国」と「海で隔てられた国」との差なのでしょうか。人権や民主主義を自分たちの手で勝ち取ったかどうかという歴史の差が大きいのでしょう。しかし、私たちの国は憲法9条をもっており、国際紛争を解決する手段としては威嚇や武力を行使しない。放棄すると決めています。いまはこの憲法の条文を実政治に適用させる努力が求められていることは、多くの人が承知しているはずです。