こんにちは。
生き生き箕面通信2298(150409)をお届けします。
・「人の心の中に平和のとりでを」と、ユネスコ憲章前文
ここパリのエッフェル塔の近くにひとつ目立つビルが建っています。ユネスコ本部ビルです。
ユネスコが画期的な動きをみせたのは、かれこれ4年ほど前の2011年10月ことでした。パレスチナをユネスコの加盟国として正式に承認したのです。
本部ビルの前には、ユネスコ憲章の前文の一節を刻んだ碑が建てられています。「戦争は人の心の中に生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。相互の風習と生活を知らないことは、人類の歴史を通じて世界の諸人民の間に疑惑と不信をおこした共通の原因であり、この疑惑と不信のために、諸人民の不一致があまりにもしばしば戦争となった」と、心の中に築く平和のとりでを呼びかけています。
この憲章の精神に反し、パレスチナ加盟に猛反対したのがアメリカとイスラエルなどで、報復としてユネスコへの拠出金を止めてしまいました。その結果、総予算の25%近くもが失われる結果となりました。国際舞台でのアメリカの身勝手な振る舞いです。
日本では、世界遺産決定に関連する話題ばかりが注目されるユネスコですが、正式名称は「国連教育・科学・文化機関」であり、教育を通じて世界の和平を実現しようとする国際機関です。
ノーベル平和賞を受賞したマララさんは「世界の子どもたちが教育を受けられる社会を」と訴え続けています。その教育の役割りをなんとか実現しようとするのが、ユネスコなのです。
そして、心の中に平和のとりでを築き、その精神に基づいて和平を達成していこうと誓うのが、日本国憲法9条です。
昨日4月8日の箕面通信で、内藤正典・同志社大大学院教授の言葉を引きました。「日本国憲法9条の『国権の発動たる戦争と、武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する』こそ、現代のイスラム世界で起きているカオスのような戦乱を平和に導く唯一の精神であり、実効性の高い規範でもあるのです」という指摘です。
この指摘は何も中東にかぎらず、日本をとりまく東アジアの情勢についてもいえることです。
ところが、安倍晋三という男は、集団的自衛権を使えるようにしようと懸命です。「積極的平和主義」などというまやかしのスローガンを掲げて、事を荒立てることを画策しています。
安倍という男は、平和国家たらんとする日本の国是に背く輩(やから)です。そんな男をいつまでも総理大臣としてのさばらせておくことは、日本の恥です。恥ずかしい。
5月3日は憲法記念日。日本国憲法は68歳になります。その憲法さんを殺そうとするのが、安倍晋三という男です。殺人罪(憲法違反)で裁判にかけるべきだとすら思います。
*ところで、このところ箕面通信でいくつかのミスをしました。昨日の2297号で、フランスの人口構成に関連して、「パリ市の人口の半分をアフリカ、アジア、中東の人々で占める」と書いたのは、全くの事実誤認で、あえて弁明するなら、「パリのメトロ(地下鉄)で見かけると、半分くらいはアフリカ、アジア、中東の人々という印象」という意味でした。
また2295号で、「右派の『国民戦線』が躍進著しい」に関連して、「第一党に躍り出た」という点も、事実誤認でした。フランス議会ではまだごく少数政党にとどまっているのが実態です。お詫びして訂正します。ごめんなさい。