カルテ番号 あ・28 ７度目（26）
通常の答えなら、官、となる。
だが、愛田恵子は通常の質問などしない。
風間陽水も常識は間違いか、意図された間違いだと思っている。
政、官、財に限ってという質問だ。
限らなければ、とんでもない人が最大の影響力をもっているかもしれない。
嘗て風間陽水はチベット亡命政府のあるダラムサラで知った。
朝行として、朝早く寺内で僧侶が経を唱えていた。
一見すれば、朝行の一環だろう。
僧侶が経を唱えるのも、当たり前だろう。
ところが、とてつもない事をしている、と感じた。
自分を磨く、高める行などではなかった。
びっしりといる僧達の唱和される経。
それは経から離れ、波動としての音だった。
どこまでも響きわたる波動だった。
そして、そこからは暖かい見えない光が広がっていた。
これは、光の氣、だ。
（登場する人物・組織・その他はフィックションです）
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