伊勢すずめのすずろある記

伊勢雀の漫歩…。
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  感性の趣くままに-。

詩情漂う秋の日の志摩半島

2010年10月01日 | 伊勢志摩旅情

志摩市大王町名田「大野浜」

 

暑さ、寒さも、彼岸まで…

 今年は、夏の季節が延長したのか、九月半ばを過ぎても残暑ではなく猛暑日が続いた。日本列島全体が、異常な暑さに見舞われた。しかし、昔の人は、「 暑さ、寒さも、彼岸まで! 」とはよく言ったもので、秋分の日を境に、丸一日の地雨の後、一気に気温が下がり、伊勢志摩地方にも晩秋のような秋が足早にやって来た。朝夕はめっきり冷え込み11月の気候みたいであるが、昼日中(ひるひなか)はまだ、初秋の残暑のような日差しである。時折そよぐ秋風は実に爽やかであるが、涼しすぎて、半そでだと肌寒さを覚えてしまう。そして、何故か感傷的な気持ちにさせられてしまう。

 

九月の終わり、志摩の海へ行くと…

名田の大野浜  九月もいよいよラストとなった29日、朝から好天に恵まれ、山の景色がくっきりと見えるほどシーイングもよかったので、久しぶりに志摩の海辺に行った。場所は道路に近くて、つい最近、車が防波堤の上まで乗り入れられるように整備された、名田の大野浜である。このこじんまりした礫(さざら)のビーチは、真夏でも殆ど誰もいなくて、我輩貸し切りのようなとてもいい遊び場である。ここは波切の少し北で、サーフィンのメッカ市後浜(いちごのはま。阿児町志島)の手前だ。海を隔てて左手前方には安乗の村落をへばりつかせたような安乗岬が眺められる。さらに水平線を右に辿ると、ブルーの海原の彼方に神島や伊良湖岬がかすかに見える。

 

名田の大野浜にて、秋を感じる

 数日前の嵐のせいか、ビーチカスプの形もかなり崩れ数も減少していたが、いつものように、程よい長さの弧状の渚に降りて、漂礫の小石眺めながら、打ちあがったアラメの続く満潮ラインにそって歩き、漂着物を物色する。いつもよりたくさん、しかも大きな軽石が散乱していた。サングラスをしていてもまぶしい陽射しの中で、時折、海風が何かを運んできた。何だろうと思ったら、「秋の詩情」である。志摩の海辺にもやっと秋が来たのだ…。

「今は、もう秋…、誰もいない海 ♪♪~~」(歌:トワ・エ・モア)

 つい、昔のフォーク・ソングを口ずさんでしまう。自作のメロディーの方がいいのにと思いながらも、これは、青春の頃に感じた、秋への「センチメント」なのか、「ノスタルジー」なのか…。

 

秋の歌など、雑感…

 秋の歌は、フォーク・ソングだけでなく、唱歌から歌謡曲まで、いつまでも心に残る名曲が少なくない。我輩の好きな秋の歌は、秋風がテーマであったり、海の歌だったり、悲しい恋歌だったり、とにかく哀愁や哀調を帯びた短調の旋律なのだ。

 一番好きな曲はと言うと、ダ・カーポさんがかつて歌っていた「夏の日の忘れもの」であろう。

「もう、夏は終わったの…、赤いサンダルひとつ… ♪♪~~」

 さらに、舟木一夫さんのかつての「B面コレクション」の中に収録されていた「想い出通り」が実にいい…。

「立ち止まることなく、時は流れゆき…、愛だけがはぐれて、迷う街… ♪♪~~」

 好きな曲を幾つか記すと、季節感は無いが、青春時代に聴いた本間千代子さんの「海ほうずきの頃」がある。声は細くてあどけなかったけれど、純真で甘っぽくてよく澄んだ彼女の当時の歌声が、記憶のざわめきの中にはっきりと残っている。この他、中山千夏さんの「あなたの心に」とか、本田路津子さんの「秋でもないのに」や、牧村三枝子さんの「はまゆうの花」(TBS系テレビドラマ"女の一生"主題歌)がある。

 同じ秋の歌でも、歌手によってかなり違ってしまうのは、どうしても否めない。例えば、日本の抒情歌になってしまっている「旅愁」や、「里の秋」の他、「浜辺の歌」や「赤とんぼ」、「もみじ」など、ソプラノ歌手の鮫島有美子さん(国際的に活躍する、日本が生んだ超一流のソリスト)の歌唱ともなると、聴いていてしびれてしまいそうだ。声質・音量はもとより、感情移入、抑揚、ビブラートなど、発声楽的な完成度はもとより、類まれな彼女の感性は実に魅力的であり、国際舞台でのトップ・クラスでのボーカルは、先々まで他の追随を許さないであろう。何度でも聴きたくなる程、実にすばらしく、歌に魅了されずにはいられない…。

 また、同じ歌でも、コーラス・グループやデュオ歌手が歌うと、その歌の良さがかなり違ってくる。例えば、スリー・グレイセスの歌った「夏の日の恋」や「山のロザリア」、ボニー・ジャックスの「ちいさい秋みつけた」、伊藤ゆかり&ダークダックスの曲「秋が突然」(NHK・TV"歌の祭典"より)など、いい感じの歌をいくらでも拾い出す事ができる。デュオでは、キャッツ・アイの「めっきり冷たくなりました」が、今の季節にピッタリだ。

 さらに、古い歌を引っ張り出すと、ザ・リガニーズの「海は恋してる」や、ヴィレッジ・シンガーズの「亜麻色の髪の乙女」、ワイルド・ワンズらの「想い出の渚」など、昭和60 年代まで遡ってしまい、エレキバンド・イン・グループサウンズや、カレッジ・フォーク・バンドの時代のヒット・ソングを列挙する事となり、切りがないので、これぐらいにしておこう。

 

自作の、「秋」にちなんだ作品をひとつ

 志摩の海辺では、素材を見つけ、情景を描写し、これまでにいろんな詩を書いた。抒情詩もあれば歌謡詞もある。我輩の詩は、どこか子供っぽくて、寂しくて、女性的でいけない。例えば、

黄昏の今来た小道
振り返ると 誰かいるような…
あの人が微笑んでいるような…
でも、それは冷んやりとした
秋風のざわめき

(以下、省略。「黄昏の小道にて」より)

こんな調子である。

 

 自作のC.D化作品をひとつだけ記すと、「秋風さらさら」(リリック歌謡曲。松崎昌子さん編曲・ボーカルのインディーズ盤)が、季節感があって、とても気に入っている。

秋の陽射しに 呼び止められて
独りで辿る 野辺の小径(こみち)
コスモス揺れている 風の通り道(みち)
ひと時 私も 風になり
秋風さらさら 何処(どこ)へ行こうか
遥か彼方の あの人の街よ

揺らぐ木漏れ陽 落ち葉の絨毯(じゅうたん)
ふたりで歩いた 学園通り
色づく銀杏(いちょう)に プラタナス
あの頃 通った カフェテリア
秋風さらさら 枯れ葉に染まり
過(よ)ぎる青春 想い出の街よ

悲しみ色の 夕焼け雲(ぐも)に
侘しさ預けて 辿る小径
梢(こずえ)に熟(う)れてる 残り柿(がき)
夕暮れ かさこそ 風の声
秋風さらさら 面影呼べば
口笛吹いてる あの人がいる

 

秋が突然めっきり冷たくなりました

  

写真上から

  • 志摩市大王町名田の「大野浜」
  • 同じく、名田の「大野浜」
  • 「秋が突然」(EPレコードのジャケット)
  • 「めっきり冷たくなりました」(EPレコードのジャケット)
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