<同時に、母親にも私にも日本の神道に対する沖縄的なアンビバレントな感覚もあります。沖縄にはいわゆる神道的な発想ではなく、ニライカナイという発想があるのです。海のはるか向こう側に異郷があり、良いことも悪いことも両方そこからやってくる、という発想です。そこは地獄であるとともに楽園であるような、不思議な場所です。物事を二元的に理解する背景には、そういう発想もあるように思います。
(中略)
沖縄では魂を「マブイ」と言いますが、マブイは六つあるといわれています。
去年、二十歳の女性が米軍属(元海兵隊員)に殺された事件がありました。彼女のお父さんは私と同年ですが、娘の白骨の死体が出たとき、彼が「ここにはマブイがない。いくつか欠けている」といったという記事を琉球新報で読みました。大怪我をしたり怖い目に遭うと、マブイはその人から落ちてしまいます。だから彼は、娘がひどい目に遭い、殺された現場で落ちたマブイを探し、もう一回娘に魂を込めないといけないといって歩いている、と。
魂をもう一回その人に込める儀式を「マブイグミ(魂込め)」というのですが、沖縄にはそういう魂観があるから、たぶん私の母親も、靖国神社を思っているときの魂と、教会に行って聖書を読んでいるときの魂は違う魂だったのでしょうね。>
□池上彰・佐藤優・松岡正剛・碧海寿広・若松英輔『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』(KADOKAWA、2018)の「第Ⅰ部 対論」の「沖縄における魂観」から一部引用
【参考】
「【佐藤優】国が追悼施設をつくるべきではない(靖国問題) ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】「国家主義教」 ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】出世教、学歴教、etc. ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】お金という神さま ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】人間の思考と魂の根底に迫る ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』の目次」
(中略)
沖縄では魂を「マブイ」と言いますが、マブイは六つあるといわれています。
去年、二十歳の女性が米軍属(元海兵隊員)に殺された事件がありました。彼女のお父さんは私と同年ですが、娘の白骨の死体が出たとき、彼が「ここにはマブイがない。いくつか欠けている」といったという記事を琉球新報で読みました。大怪我をしたり怖い目に遭うと、マブイはその人から落ちてしまいます。だから彼は、娘がひどい目に遭い、殺された現場で落ちたマブイを探し、もう一回娘に魂を込めないといけないといって歩いている、と。
魂をもう一回その人に込める儀式を「マブイグミ(魂込め)」というのですが、沖縄にはそういう魂観があるから、たぶん私の母親も、靖国神社を思っているときの魂と、教会に行って聖書を読んでいるときの魂は違う魂だったのでしょうね。>
□池上彰・佐藤優・松岡正剛・碧海寿広・若松英輔『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』(KADOKAWA、2018)の「第Ⅰ部 対論」の「沖縄における魂観」から一部引用
【参考】
「【佐藤優】国が追悼施設をつくるべきではない(靖国問題) ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】「国家主義教」 ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】出世教、学歴教、etc. ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】お金という神さま ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】人間の思考と魂の根底に迫る ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』の目次」