<拝金教だけではないですね。ほかにもわれわれの多くが信じている宗教として、例えば出世教があります。
(中略)
私が知るどの新聞社でも、若い頃に「生涯一記者でいたい」といっていた人でも、政治部長や国際部長への出世話が出たとき、断った人は一人も見たことがありません。
私は外務省という会社にいましたが、ここなどは、もし課長を全員集めて「来月から給料を一割下げるが局長になりたい奴はいるか」と尋ねたら、全員手を挙げるでしょう。
(中略)
まだあります。お受験教や学歴教です。合理的に見て、志望大学のことだけを考えれば、大変な試験を受けていわゆる難関附属小学校や中学校、あるいは極端に偏差値の高い高校に入ってから一流私立大学に進むより、公立高校を出てその私立大学を受験するほうが、はるかに楽です。それでも、大変な競争になっても難関校の枠の中に入りたい、入ったら何かが違うと感じる人が大勢いるわけです。そうした競争がGDPを押し上げている側面は、あるにはあるわけですが。
このような意味では、われわれの周辺にはあちらこちらに「宗教的なもの」が転がっています。ただし転がっているけれども、「宗教的なもの」だとは感じないようになっている、それこそが問題だと思います。
□池上彰・佐藤優・松岡正剛・碧海寿広・若松英輔『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』(KADOKAWA、2018)の「第Ⅰ部 対論」の「出世教、学歴教・・・・、周囲は「宗教的なもの」ばかり」から一部引用
【参考】
「【佐藤優】お金という神さま ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】人間の思考と魂の根底に迫る ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』の目次」
(中略)
私が知るどの新聞社でも、若い頃に「生涯一記者でいたい」といっていた人でも、政治部長や国際部長への出世話が出たとき、断った人は一人も見たことがありません。
私は外務省という会社にいましたが、ここなどは、もし課長を全員集めて「来月から給料を一割下げるが局長になりたい奴はいるか」と尋ねたら、全員手を挙げるでしょう。
(中略)
まだあります。お受験教や学歴教です。合理的に見て、志望大学のことだけを考えれば、大変な試験を受けていわゆる難関附属小学校や中学校、あるいは極端に偏差値の高い高校に入ってから一流私立大学に進むより、公立高校を出てその私立大学を受験するほうが、はるかに楽です。それでも、大変な競争になっても難関校の枠の中に入りたい、入ったら何かが違うと感じる人が大勢いるわけです。そうした競争がGDPを押し上げている側面は、あるにはあるわけですが。
このような意味では、われわれの周辺にはあちらこちらに「宗教的なもの」が転がっています。ただし転がっているけれども、「宗教的なもの」だとは感じないようになっている、それこそが問題だと思います。
□池上彰・佐藤優・松岡正剛・碧海寿広・若松英輔『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』(KADOKAWA、2018)の「第Ⅰ部 対論」の「出世教、学歴教・・・・、周囲は「宗教的なもの」ばかり」から一部引用
【参考】
「【佐藤優】お金という神さま ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】人間の思考と魂の根底に迫る ~宗教と資本主義・国家~」
「【佐藤優】『宗教と資本主義・国家 激動する世界と宗教』の目次」