語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発>除染後も続く汚染

2011年12月31日 | 震災・原発事故
 福島県内で超危険な汚染地帯2,000平方kmのうち、森林面積が6~7割を占める。
 森林の放射能除染は、絶対にできない。
 森林では、秋から、落ち葉のセシウム汚染が深刻になり始めている。これが、今後ますます深刻な問題となる。雪解けが始まる来春、さらに新たな水質汚染となって再発する。
 福島第一原発ぁら放出され、内陸に流れた放射性物質の多くは、風に乗って山にぶつかり、太平洋側に落下した。そこが分水嶺だ。
 山岳地帯に始まる水源地の水が汚染されれば、河川によって上流から下流にセシウムが流れるので救いようがない。
 人体のほとんどは、水でできている。上水道の汚染が決定的な意味をもってくる。
 カウンターを使って土壌から出る放射線の空間線量を測るだけで、生活できるかどうかの可否を判断することは危険だ。除染しても、すぐに汚染が再発する。

 福島県内の都市部の場合、住宅地の除染は、屋根、壁、雨樋から庭まで、細部まで放射性物質を剥ぎ取らなければならない。しかし、コンクリート面にはセシウムが強くこびりついているので、困難をきわめる。
 現在も福島第一原発の事故現場から大量の放射性物質が大気中に放出されている。東北地方特有の風は、太平洋側から吹くヤマセだ。これが吹き出すと、内陸に向かってさらに広大な範囲に汚染が広がる可能性がある。
 除染しても除染しても、山からも海側からも、また放射性物質が襲ってくる。果てしない戦いだ。
 問題は、そのあいだ住民がずっと被曝し続けることだ。

 こうして、除染不可能な広大な面積の土地、除染不可能な森林と住宅地、表土栄養分の除去による耕作地の死、背後から迫る水質汚染の深刻さ・・・・さらにそこから発生する膨大な量の汚染物の処理場がないことを知れば、除染はまさしく幻想そのものだ。

 日本全土に降り積もった放射性物質の汚泥・汚染土壌・汚染瓦礫・焼却灰は、さらにまた広大な範囲に深刻な問題を広げている。
 汚染物の拡大は、太平洋側だけの問題ではなくなった。
 山形市では、6月下旬、ついに汚泥から高い数値の放射性物質が検出され、処理不能に追い込まれた。
 放射性物質が山を越えたのか、分水嶺を抜けて河川から汚染が広がったのか。
 多くの福島県民が避難し、比較的安全と思われた日本海側にも汚染が広がっているのだ。

 以上、広瀬隆「除染後も続く汚染 今からでも避難を ~原発破局を阻止せよ39~」(「週刊朝日」2011年12月30日号)に拠る。

 【参考】「【震災】原発>セシウムが覆う日本の山河
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