TPP交渉に参加すれば、労働者の受け入れも俎上に乗る。これまで以上に外国人労働者受け入れのハードルが低くなる可能性がある。そうなると、介護現場にも大きな影響を与えそうだ。
TPPによって外国人の弾力的な労働移転が可能になれば、今よりも多くの外国人介護福祉士が増えるだろう。
現在、EPAに基づく派遣制度によって、介護福祉士候補者がインドネシアから来日している。
ただし、国家試験のハードルが高いので、受け入れ人数が減っている【注1】。国家試験が日本語で行われるため、それがハードルを高くしているのだ。国家試験は一定のスキルを担保する。生命に関わる仕事に関しては、容易にハードルを下げるべきではない。
日本人は、介護福祉士の資格がなくても介護業務ができる(介護士)【注2】。だから外国人も同様に、とTPP協議で決着すると、現在のハードルはかなり低くなる。
現在はあくまでも2ヵ国間のEPAに基づいているから、外国人介護士が働くためのハードルを高く設定できる(介護福祉士の資格を求めることができるのだ)。
ある特別養護老人ホームで働くインドネシア人の介護士候補者は、来日してから2年を経て、日常会話は問題なくこなせるようになった。施設職員や利用者からも、大変気配りのある人材だ、と評価されている。そうした外国人介護士候補者は、ハードルの高い国家試験に合格すべく日々勉強を続けており、それなりに技術を身につけている。
彼女らが働く施設長によれば、将来的には外国人介護士の協力を得なければならない時代が来るから「先行投資」的意味合いで受け入れを決めた。ただ、教育などにかなりの経済的・人員的負担を強いられている、という。
TPPに参加し、「人の移動」が自由になれば、多くの外国人介護士が働くことになり、そのハードルも低くなるだろう。しかも、メイドや家政婦といった人材も流入してきて、在宅で高齢者をケアする住み込みスタイルで働く者が増えるだろう。
かつてヨーロッパで視察した際、介護施設では3、4割が外国人労働者で、在宅では東南アジアからの出稼ぎの家政婦などがケアしていた。
介護現場の人材不足は解消されていない。外国人労働者が流入してくれば、それなりの人材は確保されるかもしれない。しかし、ハードルが低くなる分、人材の質が問題になるだろう。
加えて、介護現場で働く人の処遇の問題もある。以前よりも介護労働者の賃金体系は改善しているが、全産業に比べるとまだ低い。外国人労働者の流入によって介護労働者の処遇が今以上に向上することは、考えにくい。
【注1】2008年度104人、2009年度189人、2010年度77人。
【注2】介護福祉士は、国家資格の名称の一。介護士は、高齢者施設などで介護職員として働く人のことで、職名であり、資格名ではない。
以上、結城康博「TPPで、介護の現場も激変する! ~医療・介護はカネ次第!NO.164~」「サンデー毎」2011年12月25日号)に拠る。
【所見】
介護職の質の低下、介護職の処遇低下によって直接・間接に被害をこうむうるのは、まずもって今の高齢者だ。
しかし、若年層とて無関係ではない。老後受け取るはずの年金は制度にガタがきている上に、TPPによって身内を公的介護に安心して委ねるわけにはならない事態となるわけだから。
よって個々に自衛策をとらねばならないのだが、これがなかなか容易ではないことは、容易にお分かりと思う。
↓クリック、プリーズ。↓
TPPによって外国人の弾力的な労働移転が可能になれば、今よりも多くの外国人介護福祉士が増えるだろう。
現在、EPAに基づく派遣制度によって、介護福祉士候補者がインドネシアから来日している。
ただし、国家試験のハードルが高いので、受け入れ人数が減っている【注1】。国家試験が日本語で行われるため、それがハードルを高くしているのだ。国家試験は一定のスキルを担保する。生命に関わる仕事に関しては、容易にハードルを下げるべきではない。
日本人は、介護福祉士の資格がなくても介護業務ができる(介護士)【注2】。だから外国人も同様に、とTPP協議で決着すると、現在のハードルはかなり低くなる。
現在はあくまでも2ヵ国間のEPAに基づいているから、外国人介護士が働くためのハードルを高く設定できる(介護福祉士の資格を求めることができるのだ)。
ある特別養護老人ホームで働くインドネシア人の介護士候補者は、来日してから2年を経て、日常会話は問題なくこなせるようになった。施設職員や利用者からも、大変気配りのある人材だ、と評価されている。そうした外国人介護士候補者は、ハードルの高い国家試験に合格すべく日々勉強を続けており、それなりに技術を身につけている。
彼女らが働く施設長によれば、将来的には外国人介護士の協力を得なければならない時代が来るから「先行投資」的意味合いで受け入れを決めた。ただ、教育などにかなりの経済的・人員的負担を強いられている、という。
TPPに参加し、「人の移動」が自由になれば、多くの外国人介護士が働くことになり、そのハードルも低くなるだろう。しかも、メイドや家政婦といった人材も流入してきて、在宅で高齢者をケアする住み込みスタイルで働く者が増えるだろう。
かつてヨーロッパで視察した際、介護施設では3、4割が外国人労働者で、在宅では東南アジアからの出稼ぎの家政婦などがケアしていた。
介護現場の人材不足は解消されていない。外国人労働者が流入してくれば、それなりの人材は確保されるかもしれない。しかし、ハードルが低くなる分、人材の質が問題になるだろう。
加えて、介護現場で働く人の処遇の問題もある。以前よりも介護労働者の賃金体系は改善しているが、全産業に比べるとまだ低い。外国人労働者の流入によって介護労働者の処遇が今以上に向上することは、考えにくい。
【注1】2008年度104人、2009年度189人、2010年度77人。
【注2】介護福祉士は、国家資格の名称の一。介護士は、高齢者施設などで介護職員として働く人のことで、職名であり、資格名ではない。
以上、結城康博「TPPで、介護の現場も激変する! ~医療・介護はカネ次第!NO.164~」「サンデー毎」2011年12月25日号)に拠る。
【所見】
介護職の質の低下、介護職の処遇低下によって直接・間接に被害をこうむうるのは、まずもって今の高齢者だ。
しかし、若年層とて無関係ではない。老後受け取るはずの年金は制度にガタがきている上に、TPPによって身内を公的介護に安心して委ねるわけにはならない事態となるわけだから。
よって個々に自衛策をとらねばならないのだが、これがなかなか容易ではないことは、容易にお分かりと思う。
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