語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【経済】消費税は失業者を増やす

2011年12月14日 | 社会
 消費税は、金持ちに非常に有利な税金だ。
 <例>年収300万円の人は、年収を全部消費するから消費税額15万円を払う。つまり、所得に5%課税されるのと同じことだ。他方、年収1億円の人が2千万円を消費にまわし、8千万円を金融資産にまわした場合、消費税額100万円を払う。つまり所得に1%課税される。
 財界や資産家が消費税を推奨する理由は、ここにある。

 先進国の消費税と比べて日本の消費税は安い・・・・というのは、実はウソだ。
 日本の消費税は、実質的に世界一高いからだ。
 日本の物価は、世界一といってよいほど高い。デフレで物の値段が下がってはいるが、元の値段が世界水準よりも高いのだ。
 マーサー『2001年世界生計費調査』によれば、東京はアンゴラについで2番目に高い。ルアンダは、長年、内戦が続いていた国だ。物資は不足し、国民経済が疲弊し果てている。だから物価が高くても仕方ない、と言える。しかし、平和ニッポンの物価が世界で2番目に高いというのは、異常だ。しかも、数十年間、ずっと日本の物価は世界でも高いのだ。
 この物価の高さは、公共料金の高さ(<例>原発事故後に天下周知のものとなった電力料金)など、さまざまな要因がある。
 もともと物価が高い国で、さらに物価を上げるような税金を作ったら、どうなるか。  
 当然ながら、消費は冷え込む。日本では、消費の冷え込みが慢性化している。消費税導入(1989年に3%、97年に5%)以降に。
 物価が上がれば、今以上に国民生活が苦しくなるのは目に見えている。 
 もともと高い物価をさらに引き上げる税金を作るべきか、あり余っている資産に税金をかけるべきか。答は簡単なはずだ。

 消費税は、失業者を増やす税金だ。
 消費税は、システム上、人件費が大きい企業ほど納付税額が大きくなる。
 企業は、売上げのときに客から預かった消費税を全額納付するわけではない。仕入れや経費の支払いのときに、支払った消費税を差し引いた残額を納付するのだ。
 要するに、売上げから経費を差し引いた額に、5%をかけたものが企業が納付する消費税となる。
 だから、消費税の計算上、企業の経費から給料分は除外される。よって、人件費の大きい企業は得をする。
 となると、企業は正社員を雇うより、その業務を中小企業に委託したり、派遣社員を雇うほうが得になる。だから、消費税は、正社員を減らし、派遣社員を増やす、という圧力を持っているのだ。
 事実、消費税が導入されて以来、企業は正社員を減らし、派遣社員を増やす傾向にある。派遣社員の増加は、消費税の導入だけが理由ではないが、大きな要因の一つだ。

 【注】「【読書余滴】野口悠紀雄の、貧富格差の拡大に経済政策は無対応 ~ニッポンの選択第29回~

 以上、武田知弘「放射能汚染がれき焼却処理の間違い ~数字が見抜く理不尽ニッポン 第4回~」(「週刊金曜日」2011年12月9日号)に拠る。

 【参考】「【経済】「億万長者激増」の原因 ~税制~
     「【経済】「億万長者激増=景気低迷原因」説 ~日本に5万人の億万長者~
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