語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発>古賀茂明の、放射性物質漏洩の罰則はない

2011年12月13日 | 震災・原発事故
(1)放射性物質を漏洩しても、取り締まる法律がない
田原総一朗 原発事故で放射性物質が大気中や海中に漏れた。でもこれは、日本の法律では違法ではないですね。カドミウムを漏らせば違法だけれど、放射性物質のヨウ素やセシウムは合法で、取り締まる法律もない。
古賀茂明 環境への漏洩が想定されていませんからね。原子力関係は、環境問題からはずれてしまっています。大気をいくら汚染しても、大気汚染防止法には引っかかりませんし、土壌汚染対策法の対象にもなっていません。
田原 だから放射能汚染の担当官庁もなかった。ようやく環境省と決まり、事故から半年たってそろそろ研究を始めるそうです。法律がないから、研究が2012年4月までかかる。ソ連はチェルノブイリのとき1ヵ月でやったのに。
古賀 だから原発の規制は、建前の世界です。原発は実験炉を文科省が、商用炉を経産省が所管していて、事故だけは起こすなという規制は、いろいろとものすごく細かくある。でも、今回のような事故で放射性物質が漏れ出たとき、刑事罰を科すような規制はありません。
田原 国民に何兆円という損害を与えた事故を招いた東電の経営者に対して、法的には何一つできない。
古賀 逆に言うと、国が作った規制どおりにさえやっておけば、国民に何兆円の損害を与えても刑事的な責任は一切問われない。民事でも払えなければ、国が助けて東電を守るという法律を作ってしまった。結局、すべては国民を守るためではなく、業者を守るための規制になっています。
田原 安全規制は官僚を守り、業者を守る。ただし、国民だけは守らない。

(2)最低限の規制さえ守れば、あとは「思考停止」するだけ
 原因が何であれ、漏洩させた責任者は罰する、という規制にすべきだ。ところが、日本では、そうなっていない。
 <例>原発の非常電源は二重にバックアップせよ、と書いてある。今回はそのとおりにしていたから問題ない、とされる。
 米国でも<例>のような規制がある。しかし、それは最低限であって、それ以上とにかく安全を守らなければならない、という高いレベルの規制になっている。だから、電力会社は、自主的に三重四重の手だてを講じる。いちばん手厚いのは五重か七重にしてある。
 日本では、規制どおり二重にバックアップしていたから責任はない、となる。
 放射性物質で大気を汚しても、法的責任は生じない。賠償させるには、民事訴訟を起こすしかない。

 以上、古賀茂明(田原総一朗・責任編集)『決別!日本の病根』(アスコム、2011)から(1)を引用し、(2)を要約した。

 【参考】古賀茂明に関する記事一覧
 【追加】「【震災】原発>古賀茂明の、「脱原発」すべき理由 ~人・組織~
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