語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発>餅、おせち料理は大丈夫か?

2011年12月29日 | 震災・原発事故
●餅
 市販の切り餅などは産地が「国産」としか表示されない。よって、汚染もち米が紛れ込む可能性がある。【河岸宏和・品質管理アドバイザー】

 自治体によるコメの検査では、千葉県白井市と栃木県日光市のもち米から50Bq/kg前後が検出された。
 2011年11月に暫定規制値を超える汚染米が出た福島県伊達市の農家も、もち米を作っていた。
 福島県産もち米は、コメ全体の2%。30kgの米袋換算で20万袋に上る。

 代表的な餅メーカー(a)「佐藤食品工業」(通称サトウ食品)、(b)「越後製菓」、(c)「きむら食品」の産地は次のとおり。なお、各社とも自主検査を実施している。
 (a)新潟を中心に、北海道、岩手、宮城、秋田、山形、佐賀、滋賀など。福島県の新米(23年度米)は現段階では使用していない。
 (b)新潟、北海道、佐賀が主体。福島県産は数年来使用していない。
 (c)新潟、岩手、山形、秋田、北海道、千葉、富山、長野、岐阜、九州など。福島の新米の購入・使用予定はない。

●おせち料理
 数の子、海老、栗など具材の大半は輸入品。気になるのは卵焼き、最近定番のローストビーフ(牛肉)だろう。 鶏の餌は輸入配合飼料が多いと言われるが、水、空気、飼育環境を通じた汚染の可能性は残る。しかも、鶏肉の産地表示は、もち、牛肉と同様に「国産」にとどまる。消費者は県名をチェックし、記載がなければ店に問い合わせて買うか否かを決めるしかない。【河岸アドバイザー】

 ちなみに、自治体による検査結果(11月30日まで)は次のとおり。 
 (a)牛・・・・検査数37,674点。うち規制値超えは152点。ただし、100Bq超えが848点あった。
 (b)鶏・・・・卵:検査数205点。うちセシウムの検出例は0点。/鶏肉:検査数102点。うち7月に茨城県大子町から5Bqが検出されて以降、不検出が続く。

 以上、藤後野里子/大場弘行(本誌)「おせち料理、モチはどこまで大丈夫か?」(「サンデー毎日」2011年1月1・8日号)に拠る。

    *

 鍋野菜の主役、白菜の主な産地は、茨城と長野だ。両県で日本の全生産量の45%を占める。しかし、長野は夏採りで、関東に関していえば、秋から冬にかけて販売される白菜の8割が茨城産だ。【内田裕雄・流通ジャーナリスト】
 鍋需要で売上げを伸ばそうとしている矢先に白菜が茨城県産だけになってしまった。その影響からか、他の鍋種も出足が鈍い。【中堅スーパー担当者】

 通販大手の「カタログハウス」(東京都渋谷区)は、JR新橋駅前の直売店では、コメ、野菜、果物を扱っている。8月から、福島産の食品を独自に検査し、放射能の値を明示して販売している。同社は、厚生労働省の暫定基準よりはるかに厳しい40Bq/kg(野菜)というウクライナ保健省の基準を採用し、収穫直後の集荷場と販売前の店内と、計2回検査している。
 ウクライナ基準以下なら、標準的な量の食品を摂取しても放射能の合計は年間1mSvを超えない。12月半ばから福島県産の新米の販売も開始した。玄米で3Bq/kg、精米すると1Bq/kg以下になった。精密に検査したため、例年より発売が2ヵ月以上遅れたが、売上げは好調だ。【斎藤憶良・社長】

 独自に検査し、結果を公表するという流れは、流通大手にも波及している。
 イオン(千葉市)は、11月から自主検査の結果を店頭やホームページで公表し始めた。
 公表に踏み切って以来、「この産地のものは買わない」という客の声は聞かない。【広報担当者】

 茨城県つくば市周辺の生産者が運営する直売書「みずほの村市場」は、3月下旬から、農作物や牛乳の放射線量の測定を独自に行ってきた。
 最初、「何で測るんだ。ますます風評被害がひどくなるじゃないか」と反対する生産者もいた。でも、すべての作物を測って、本当に安全だということを確かめなければ商品として責任を持てない。きちっとした検査と数値の公表をしない限り、消費者の信頼は取り戻せない。【長谷川久夫・代表取締役】
 この取り組みがテレビや新聞で報じられると、8月には売上げが前年の8割程度まで回復。9月には前年を超えるまでに至った。

 事故直後には、福島など被災地の野菜を積極的に買う「応援買い」が起きた。
 だが、いま必要なのは「応援」ではない。正確な事実を広く知らしめることだ。公開された情報をもとに、消費者が自主的に選択することだ。安全でおいしい、と判断できるからこそ買う、という「ふつうの消費活動」だ。

 以上、大貫聡子(本誌)「正月の食卓を直撃する放射能不安」(「週刊朝日」2011年12月30日号)に拠る。
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