「ターミネーター」1作目はふたりのスターを生み出した。ひとりはもちろん現カリフォルニア州知事アーノルド・シュワルツェネッガーであり、もうひとりは監督のジェームズ・キャメロンだ。今では考えられないことだが、ふたりとも金に困ったB級の存在だったのに。
もっと正確にいうと、1作目のあのラストシークェンス、表皮や肉がこそげ落ち、金属がむき出しになってもなお追いかけてくるターミネーターの怖さが、シリーズを“金が稼げる”存在に押し上げたわけだ。あのシーンにはわたしも笑ったなあ。
キャメロンはその後「エイリアン2」でますます名をあげ、続篇「ターミネーター2」に着手する。製作費なんと1億ドル。どれだけ期待されていたかの証左。そして出来上がったのがあの名作だから文句なし。大バクチで製作費をたれ流した「タイタニック」を20世紀FOXが笑って許した(わけでもないだろうが)のもうなずける。液体金属ロボットT-1000は衝撃的だった。
キャメロンが降板した「ターミネーター3」は数段落ちる出来。このあたりはやはり3作目で急降下した「エイリアン」と同じ構図。女性ターミネーターが、殺戮のかぎりをつくす直前に鏡に向かってちょっと顔を直すあたりのシーンしか印象にない。シュワルツェネッガーは単なるでくの坊だったし。
で、「4」。ターミネーターサーガの「2」の直系の続篇。主役のクリスチャン・ベールは「バットマン」と「ターミネーター」のかけもちでお忙しいことだが、主役はほとんど死刑囚役のサム・ワーシントン(シュワルツェネッガーにとてもよく似ている)だ。
よく見ると美人でもなんでもないブライス・ダラス・ハワードが救世主ジョン・コナーの奥さん。で、妊婦役なのでふっくらしている……のか?実は物理的にふくよかになったのでしょうがなかったんじゃないのかなあ(笑)。
いきなり死刑執行のシーンから始まることでもわかるように、今回はかなり暗いストーリー。「PLUTO」を読んだばかりだからか、ロボットのアイデンティティとは何かというテーマはしっくりくる。
しかしどうにも理屈ばかりが先行し、活劇としての面白さが二の次になったのではないかとも思う。悪くはないけどね。「いつも派手なアクションばっかり撮ってるわけじゃねーぜ」と監督のマックGは主張したかったのかもしれない。はたして、彼の目論見どおり5作目はあるだろうか。あったとしてそれは彼にまかせられるのか?
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