第36話「雲の中の死」はこちら。
サードシーズン最終話。前後編の二週にわたってオンエアされている。古畑のチームに身体的危機が迫るなど、サスペンス風味が強い回になった。もっとも、主役である古畑自身は最後までとぼけた雰囲気をただよわせたまま。
犯人がテロリスト集団なのも異色。SAZ(サズ)と自称する過激な動物愛護団体が、駅の遺失物として扱われているあるものを手に入れるため、列車を“ハイジャック”する。たまたまその場に居あわせた古畑は、背後になにかトリックがあることを見抜く……。
主犯は江口洋介。列車の制御室に警視庁公安部の人間として入りこみ、鉄道会社をミスリードしていく。この犯罪のキーポイントは
・なぜハイジャックは予告されたか
・なぜハイジャックしたのが列車だったのか
・なぜ身代金が小銭でなければならなかったか
・なぜ身代金は分割されなければならないか
テロリストたちがたやすく公安の人間だと詐称することができた理由もこのなかに仕込んである。下敷きになったのは地下鉄をハイジャックした「サブウェイパニック」だし、管制塔の近くにアジトを構え、ハッキングして混乱させるのは「ダイハード2」だろう。冷徹で計算されつくした犯行が、主犯の人間くさい行動でほころびていくあたりも「しゃべりすぎた男」に続いて「サブウェイパニック」を引用している。
まあこれだけだと出来はいまひとつかなあ、と思っていたら、最後の最後に古畑と江口の頭脳戦が用意してあって、わたしのような半可通視聴者にうっちゃりをかましてくれる。
ラスト。西園寺は古畑に「すぐに帰ってきてくれるんですよね」と声をかける。古畑の帰還はしかし……
第38話「すべて閣下の仕業」につづく。
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