事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「冬のフロスト」Winter Rrost R.D.ウィングフィールド著 創元推理文庫

2014-05-06 | ミステリ

29106 「クリスマスのフロスト」「フロスト日和」「夜のフロスト」「フロスト気質につづく、日本で刊行されるフロストシリーズの(いまのところ)最新刊。もっとも、本国イギリスで刊行されたのは前世紀の1999年。作者のR.D.ウィングフィールドは2007年にもう亡くなっています。もう残るは一作だけか……残念だなあ。

風采の上がらない、妻を亡くした中年刑事。捜査方針は場当たり的で、何度も何度もミスをする。いつも下品きわまりない話しかしないので、同僚たちから、愛されはするけれども尊敬はされそうにない。しかしそんなフロストの世知に長けた推理がなければ、事件は迷宮入り確実。文句なく、名探偵ではあるのだ。

この作品では、上にこびへつらう署長にふりまわされるのはいつもどおりだけれど、それ以上にほんっっっっとおに使えねー部下(しかも女癖悪し)によって捜査はめちゃめちゃになってしまう。いるよなー、こういう野郎って。ひょっとしたらこのシリーズをいちばん楽しみにしているのは中間管理職の方々かもしれない。

シリーズ最大の特徴は、事件が同時多発すること。今回も

・少女誘拐事件

・娼婦連続殺人

の大ネタだけでもたいへんなのに

・レイプされると思いこんでいる中年女性

・怪盗枕カヴァー(笑)

まであらわれ、あまっさえ白骨化した死体まで発見“されてしまう”。

「この忙しいときに」

と毒づきながらも、フロストは眠らずに(時間外手当の予算残まで署長に意識させられながら)事件に対処する。

いつもどうやって解決するのかと絶望的になるのだが、今回は特にハラハラさせられる。同時多発した事件が相互に連関して……なラストはおみごとでした。

いつもミステリのベストテンでトップをとるこのシリーズなのに、今回は3位に終わっている。でもね、それはみんながフロストに慣れただけ。あまりにも孤高に面白いことに驚きがなくなっただけでしょう。面白さは文句なくベストワン!

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