ナンシー関が亡くなって、もう2年が経とうとしている。この不在の期間で、彼女ならどう突っ込むのだろうという事件が頻発しまくり、ひたすらその存在の大きさを再確認させられた。たとえば、永井大なんぞという中途半端な二枚目の存在など、おそらくぶった切ってくれたであろうに。
さて、それでは彼女につぐ第2走者はいったい誰なんだろう。ギャグの切れ、誰も予想も付かない観点からの指摘など、欠落の大きさゆえに生半可な書き手では及びもつかないのだが、何人か候補者をあげておきたい。
一人目はもうドッペルゲンガー(あとでまとめてアップします)でとりあげている松尾スズキ。あふれるほどのコンプレックスと才能をかかえたこの劇作家は、その文体が徹底して特異であり、しかもかなり伝染性が高い。こんな感じである。
何だ。佐藤藍子のあの耳は。
手塚マンガじゃん。
初めて彼女がテレビに出演した時はさすがの私も度肝を抜かれた。直に会ったことがないので断言はできないが、「CDの半分」くらいはあると見た。つまり両耳合わせると、「ほぼCD」ということになる(註・そんなにはありません)。二人で「CD2枚」だ(註・意味がありません)。だから何だ、と言われても困るのだが……
「この日本人に学びたい」光文社知恵の森文庫
ナンシーフォロワーとしての資格十分と見たのだが、どうだろう。伝染しそうじゃない?続いてはナンシーと対談集まで出しているリリー・フランキー(加藤紀子との仲はどうなったんだ?)だろうか。この対談がまた無茶なのである。
ナンシー リリーさん、今までどんな車に乗ってきました?怖いもん見たさに近いんだけどさ(笑)。
リリー 最初は友だちから40万円で買ったBMW320。買った時にステアリングが壊れてて、すでに重ステだった。俺、アメ車好きで、BMWやベンツをいいと思ったことないんですよ。それで内装をアメ車風に変えていったら、どんどん気持ち悪い車になっていった(笑)。その車は、台風の日に環七と甲州街道の交差点でカリブの海賊みたいに水の中に突っ込んで、エンジンが動かなくて壊れた。ドア開けたら水が入ってきて、俺は小便を我慢してたんだけど、たまらず車の中でしましたね。冠水した時にエンジンかけるのは、一番やっちゃいけないことらしいんですよ。
「リリー&ナンシーの 小さなスナック」文藝春秋
……いやはや、なんちゅうかしかし。
そしてふと気づく。この三人、いずれも絵がうまいのである。まあナンシーとリリーは本業だから当然としても、松尾の腕もなかなか。“笑い”と“アート”って、なんか相関関係があるんだろうか。
そしてここにわたしは隠し玉を持っている。というか、パソコンの世界ではとっくに有名な人だし、噂の真相のコラムも爆笑ものだった。そして臨時だけどなんと学校事務職員出身にしてやっぱり絵が堪能……小田嶋隆である。この人の罵倒芸は一級品。アルコールで身体がめちゃめちゃになってしまい、断酒中という現状も書き手としての資質は十分だ(笑)。わたしは彼の新刊が出るたびに買っているのだけれど、書店に発注しても品切れのことが多い。これは売り切れなんじゃなくて、重版してくれないだけね。とりあえず、現在も在庫はあるようだから小学館文庫の「パソコンは猿仕事」あたりを読んでみて!
※以上は2004年のコメント。そして4年が経過し、それぞれが名をあげたのはうれしい限り。特にリリー・フランキーの売れ方はびっくりするほどだ。「東京タワー」も特集しよう。加藤紀子とのてんまつも、しっかりと描いてあるし。
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