事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

明細書を見ろ!2022年3月号 定年引き上げふたたび

2022-03-17 | 明細書を見ろ!(事務だより)

2022年2月号「昇給のお話」はこちら

1月下旬の山形新聞に、定年引上げに関する記事が出ていました。

県職員の定年延長へ、関係条例の制定・改正検討 来年度、県議会に提示見通し

国家公務員と地方公務員の定年を現行の60歳から65歳に引き上げる改正法が2023年4月に施行される。県職員も同様の対応が求められ、県は職員の勤務条件や給与、退職の取り扱いなどに関する環境整備の作業を進めている。関係条例の制定・改正は計十数件に上るとみられ、県は22年度、県議会に条例案を提示する見通しだ。

県人事委員会は昨年10月、県職員のボーナス(期末・勤勉手当)の引き下げを勧告した際、定年延長を踏まえた関係条例を整備し、円滑な移行を図るよう提言した。県職員の定年延長は現在58歳から段階的に移行。知事部局をみると、61~64歳定年の過渡期に該当するのは職員4068人の約17%、680人余りとなる。

……いよいよ。本格的な話になってきました。しかしこの記事には気になるつづきがあります。

一方、定年延長の過渡期では、年度によって退職者数の上下動が大きくなることが予想される。将来的な大量退職時期の回避や、職員の年齢構成の平準化を図るため、新規採用の在り方も検討している。

……これはいったいどういうことでしょう。念のため、前にも紹介した年齢別の引上げは

・1963(昭和38)年4月1日までの生まれの人……60才

・1963(昭和38)年4月2日から1964(昭和39)年4月1日生まれ……61才

・1964(昭和39)年4月2日から1965(昭和40)年4月1日生まれ……62才

・1965(昭和40)年4月2日から1966(昭和41)年4月1日生まれ……63才

・1966(昭和41)年4月2日から1967(昭和42)年4月1日生まれ……64才

・1967(昭和42)年4月2日以降の生まれの人……65才

実際に始まってみるとわかりますが、この制度がスタートすると、1年おきに

【定年退職者がいない】

パターンが現出するのです。

するとどうなるか。公務員は定数が決まっていますから、ある年は大量に定年退職者が出て、翌年はほとんどいなくなる。そうなれば、公務員の採用数に激しく影響し、ある年は低倍率、翌年は高倍率という不公平が生じてしまいます。

もちろん定年引上げに関しては課題はそれだけではなく、50代のうちから賃金上昇幅を抑えようとするのではないかとか、60才以後の賃金レベルがどれほどのものになるのか、気をつけなければならないことは山積しています。

初任者のあなた方にとって、60才というのははるかに先のことに思えるでしょう。でも職業人としての生活をどう終えるか、今のうちから考えて……そんな年寄りくさいことはしなくていいけど、ただひとつ覚えておいてほしいのは、定年引上げの本当の目的は退職と年金受給の接続だということ。無職無年金の期間が長いことを意識すれば、どうしたって人は金を使わなくなる。長い日本の不景気の原因のひとつがそれであることは確実です。

さあ初任者研修はこれでおしまい。次年度からの健闘を祈ります。ひきつづき、明細書を見ろ。

画像は「鎌倉殿の13人」(NHK)

大河ドラマ好きであることを公言している三谷幸喜が三度目の登板。なにしろキャストだけで笑える。後白河法皇が西田敏行で頼朝が大泉洋、天然な義経が菅田将暉で北条政子が小池栄子。彼らに山本耕史や宮沢りえがからみ、主人公の北条義時である小栗旬が困った顔ばかりしていて味がある。いやーいいですわ。

2022年4月号「今回は予告篇」につづく


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