事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

続・意外なふたり~エピソード収集家

2011-10-30 | うんちく・小ネタ

Ogaiimg01_3   「妻の父親」はこちら

坪内祐三は自身もエピソードの多い人で、これまでも「暴論」「?楽部亀坪」などでふれてきた。彼の著作(「文庫本福袋」「慶応七年生まれ 七人の旋毛曲り」)をちかごろ続けて読んでいるんだけれど、あふれる教養などという段階を超え、オーバーフローした教養が文人などのエピソード収集に集約されているようにすら思える。

♯121 森鴎外 & 夏目漱石

誰にも文句を言わせないザ・文豪s。このふたりが、なんと同じ家に住んだ過去があるんですって。以下「七人の旋毛曲り」から引用。

(尾崎紅葉の「袖時雨」の主人公のモデルが森鴎外という件で)
 つまり、このブスだから妻と別居する非情(というか正直?)な主人公のモデルは森鴎外だった、というのである。
 鴎外の年譜を見ると、確かに彼は明治二十三年十月、前年三月に結婚した赤松登志子と別れ、上野花園町の家を出て、本郷駒込千駄木町五十七番地のいわゆる千朶山房に移り住む。

……この千駄木の家に、のちに夏目漱石が引っ越してくるのだそうで、文京区のサイトでも紹介されています。意外に、文人の世界は狭いのだろうか。あるいは文人専門の周旋屋でもいたのかな。あ、それ以前にこのふたりは公務員つながりでもあったわけだ。かたや帝大教授。かたや陸軍軍医総監。

他にも「旋毛曲り」には、正岡子規が新人記者時代に果敢に和歌を攻撃しているエピソードもあって泣かせます。

「而して今世の文学にてこの三十一文字程つまらぬ面白からぬものはまたとあらじ」

子規が生きていたとして、『万能川柳』をどう評価するか、聞いてみたい気も(聞きたくない気も)。

次回は「文庫本福袋」からいくつか

慶応三年生まれ 七人の旋毛曲り―漱石・外骨・熊楠・露伴・子規・紅葉・緑雨とその時代 (新潮文庫) 慶応三年生まれ 七人の旋毛曲り―漱石・外骨・熊楠・露伴・子規・紅葉・緑雨とその時代 (新潮文庫)
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