事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「ウルトラミラクルラブストーリー」 (2009 リトルモア)

2011-05-11 | 邦画

Ultramiraclelovestoryimg02 陽人(ようじん)という名の気のいい青年(松山ケンイチ)の目覚めから映画はスタート。彼はひたすら自分の予定をホワイトボードに書きこんでいる。目覚ましは亡き祖父のじゃがいもの育て方のテープ。ほう、農業青年か。

「あ。カゴわすっだじゃ」

もんのすごいディープな津軽弁。そう、この映画は全編を通じて徹底して青森ネイティブなつくりになっている。

にしてもこの陽人、ちょっと落ち着きがなさ過ぎないだろうか。

「オレの頭は織田信長といっしょなんだって」

あ、そうか。徹底して細部にこだわるあたり、アスペルガー症候群らしいことがうかがわれる。彼の生活は祖母(渡辺美佐子)とともに有機野菜を売ることで成り立っているが、ある日小学生に農薬をあびせられたことでストーリーはとんでもない方向に転がっていく。

まさかこんなタイプの映画だとは思いもしなかったのでたいそう驚いた。都会からやってきた保母さん(麻生久美子)と、田舎の好青年の小さな恋の物語(死語)だと想像していたの。まさか松山ケンイチが○○○になって……とは。

全国の事務職員と交流するようになって、しかしどうしても津軽弁と鹿児島弁だけは聞き取れない。カラオケにいっしょに行ったとき、“解説してもらっても”新沼謙治の「津軽恋女」ネイティブ津軽弁バージョンは理解できなかったのを思い出す。

そんな不可解な言語を、さすがむつ市出身の松山は軽く使いこなしているが(その分彼の標準語はかなりあやしい)、名優の渡辺美佐子や占い師役の藤田弓子は少なからず苦しい。意外に原田芳雄はうまいけどね。

身体のすみずみまで陽人が入り込んだかのような松山ケンイチがなによりすばらしい。死んだ恋人の首と、陽人の脳をだぶらせる脚本も小憎らしいので油断しないように。

それにしても驚嘆したのは保育園児たちの自然さ。「よーじん!よーじん!」とまつわりつくガキンチョたちをどう演出したのだろう。「冬の小鳥」でも思ったんだけど、近ごろ画期的な幼児演技指導メソッドでも確立したんすか。

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