スティーヴン・ホーキングの「ホーキング、宇宙を語る」A Brief History of Time は世界的なベストセラーだった。日本でもバカ売れ。読んでいないことが恥ずかしくなるほど。で、恥ずかしながらわたしは読んでいません(笑)。
でも評判だけは聞いていて、平易で簡潔な文章を使い、方程式などは極力排除した(E=mc2をのぞく)ことと、その著者が筋萎縮性側索硬化症(通称ルー・ゲーリッグ病)によって身体の随意運動ができない障がいを持っていたことも話題をよんだ。
そのホーキングの半生を描いた作品。わたしは難病ものが苦手だし、妻の献身によって……な展開が読めたものだからこれまで観ないできました。でもファンタビのエディ・レッドメイン(この作品でアカデミー主演男優賞を受賞)が演じているのなら、とDVDをレンタル。
後半が車椅子なのだから前半は思い切りホーキングをはじけさせるだろうという予想は当たり、美しき夫婦愛で障がいを克服し、名声をつかんでいく後半だろうという予測は大はずれ。
ホーキング夫妻にも危機は訪れ、お互いが不倫に走り、ふたりとも別の幸福をつかんでいく。いやー意表を突かれました。モデルになった人たちは怒らなかったのかなあ(調べてみたら、元になったのは最初の奥さんの回顧録)。
エディ・レッドメイン、フェリシティ・ジョーンズ(この女優は近ごろ八面六臂ですね)の演技は確かにおみごと。脇役の、ホーキングの恩師にあたる人物が、自分の生徒の天才ぶりにうれしさを隠せないあたりも泣かせる。
ホーキングがめざしたもの、それは「万物に敷衍できるセオリー」(原題)だが、恋愛という不随意運動について、はたして彼はどんな思いでいたのだろう。昨年亡くなった彼に、もう問うことはできないけれども。
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