ほんっとぉに放送人というのはサービスということを知っている。で、自分がテレビやラジオでやれないことをタイプライター(死語)に叩きつけるわけだ。
作者のノア・ホーリーはヒットドラマ「ファーゴ」(コーエン兄弟の、あの傑作映画をドラマ化)の製作者。タイプとして、大通俗ドラマを連発したハロルド・ロビンスの系統だろうか。
プライベートジェットという異空間に、偶然に乗り合わせたアル中から復帰した絵描き。離陸から18分後に墜落した真相とは。原題はBefore the Fall……だから墜落と晩夏のダブルミーニングになっている。邦題は座布団三枚もの。
乗客乗員すべてに事情があり(つまりは現実そのまま、ということだ)、絵描きが実は水泳の名手で、大金持ちの息子を救い出すのは、同時に自分の生活を立て直すことにつながっている。
どんな要因で墜落したかは損傷したブラックボックスの修復待ち。まあ、このあたりはミステリとしてもうひとひねりあってしかるべきだったかと。
要人警護のプロであるイスラエル人、新興宗教にはまる母親をもてあますパイロット、プレスクールの教師として生きがいを感じていたのに、大富豪と結婚したことにとまどう美女など、キャラ総立ち。
そのなかでも、英雄的行動をとったためにマスコミに追いかけ回される絵描きが実にいい。そんなヒーローを、邪悪な報じ方でたたきのめそうとする保守系ニュースキャスター(いまのアメリカにはそれ系がたーくさんいるらしい)。彼らの一騎打ちがラストに用意してあって、まことにサービス満点なのでした。映画化するとすれば、やっぱり主役はライアン・ゴズリングですか!?
だめでした。
白樫の~、とおやすみラフマニノフ
読みましたがコメントにつながりません。
気長にやりますわ。