第一巻、第二巻はこちら。
蒙塵(読み)モウジン. もう‐じん〔‐ヂン〕
《「春秋左伝」僖公二十四年から。天子が行幸するときは道を清めてから行くが、変事の際はその余裕がなく、頭から塵(ちり)をかぶる意》天子が、変事のために難を避けて、都から逃げ出すこと。みやこおち。(デジタル大辞泉)
ついに出ました第三巻。主人公は張学良と溥儀。
張学良は、父親(張作霖)が爆殺されながら、故郷である中国東北部を離れ、ヨーロッパに遊んでいる。
溥儀は紫禁城を出て、日本の傀儡である満州国の執政となる。
どちらも、頭から塵をかぶっているわけだ。彼らの独白は鬱々としていて、だから血湧き肉躍る展開というわけにはいかない。その地味な部分をカバーするためか(歴史の必然ではあるが)日本の著名人がこれでもかと登場する。
・甘粕正彦……大杉栄を殺した甘粕事件で有名。満州国はこの人物によってコントロールされた。旧米沢藩士の息子。「ラストエンペラー」では坂本龍一が演じていました。
・川島芳子……男装の麗人として有名。関東軍のスパイ。終戦後、国民党によって銃殺される。
・吉田茂……ご存じ元首相。外交官出身で、その経歴のほとんどは中国大陸だった。
ね、派手でしょ。
この物語は、天下をおさめる人物に伝わる龍玉の争奪戦でもある。持つべき人物の手にないと、その人物も国も不幸になると。
孫文すでに亡く、張作霖は殺され、袁世凱は話にもならなかった。次回は蒋介石が前面に出てきて、そしてあの男も登場することになるだろう。果たして彼らの手にドラゴンボールは渡るのか。はたしてそれで中国は幸福になれるのか……。
現代のトップのことも考える。はたして習近平は龍玉の持ち主なのか。まあ、日本やアメリカのトップが持っていないことは確実だけど。
第4巻につづく。
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