事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

今月の名言 2016年11月号PART3 大人のたしなみ

2016-12-01 | 社会・経済

PART2「田舎のプロレス」はこちら

「おいしい生活。」の決裁者は、当時の西武百貨店社長の堤清二さんという人だったんですが、このことばに決まった場合、それこそ女性問題とかが出たとき、週刊誌とかに『堤清二のおいしい生活』って書かれますよ。それでもいいですか?といったことは確認しています。そこは覚悟しておいてもらう必要があるから。そのとき堤さんからは、「それはもう結構ですよ」と言ってもらったんですけど。

……ほぼ日刊イトイ新聞から。あの名コピーの誕生裏話。ネットで調べたら、それどころかCMの出演を断ったウディ・アレンの映画を、セゾン系の映画館で公開するという条件まで出して承諾させたらしい。

2013年に亡くなった堤清二氏の、経営者としての才能には論議があるところだろう。でも父親との相克、弟との反目を経て(西友に就職した同級生は、清二には康次郎はデパートしか残さなかったと吐き捨ててました)、80年代の西武文化を花開かせた事実だけは確実に残る。

学生のころ、渋谷はすでに西武の街になっていて、西武のA館B館、そしてパルコはあまりにおしゃれで田舎者には敷居が高かったなあ。

堤清二は晩年、グローバリズムへの懸念を常に語っていたという。センスと経験が、そう言わせていたのかもしれない。

「どんなに高い壁を作って侵入者を避けようが、厳しく部外者を排除しようが、自分たちに都合のいいように歴史を書き直そうが、私たちを傷つけることになるだろう」

アンデルセン文学賞贈呈式での村上春樹のスピーチ。移民排除、歴史修正主義への警鐘だろう。イギリスのEU離脱、米大統領選におけるトランプの勝利、テロの頻発、極右的指向むき出しの日本の政治……2016年はとてつもなく暗いなかで暮れようとしている。

でも、ニヒらないでいきましょう。少しずつでも世の中のことにコミットして、若い世代のために、少なくとも今よりも悪くならないようにするのが大人のたしなみというものではないか。わたくししみじみそう考えております。

本日の一冊は「恩讐の鎮魂曲」 中山七里著 講談社
え、まさか続編が出るとは……だって前作で主人公があんなことになってしまうのに。まあ、そんなことで驚いていては、少年時代に快楽殺人を犯した弁護士なんてとんでもない設定を用意した中山七里をなめてることになるだろうか。

なにしろ主人公に感情移入するのがむずかしいので(わたしは好きですけど)、その分、展開は浪花節になってしまうのは仕方がない。ここまで来たらどこまでシリーズを続けられるのか、最後までつきあってみようと決心。

2016年12月号「真珠湾経由靖国」につづく

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