事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「終わりなき夜に生れつく」恩田陸著 文藝春秋

2018-01-04 | 本と雑誌


「夜の底は柔らかな幻」の続篇。というか正確には前日譚だ。ゴッドファーザーPARTⅡで、マーロン・ブランドの若き日をロバート・デ・ニーロで描いたあの感じ。

前作で登場した人物たちは、すべてわけありだったので、その事情を連作でていねいに描いている。なにしろクリスティの長篇と同じタイトル(そちらも、ウィリアム・ブレイクの詩からの引用だけど)をいただいているので、前作よりもミステリ風味は強い。

考えてみたら恩田陸はタイトルに凝る人で、これまでも「消滅」はアメリカン・ニューシネマ(バニシング・ポイント)だし、「ねじの回転」はヘンリー・ジェイムズ、音楽からは「ライオンハート」「朝日のようにさわやかに」がある。

「蜜蜂と遠雷」の主人公、風間塵はカンザスのダスト・イン・ザ・ウインドでしょ?「夜の底は~」も、なんと久保田早紀の曲からいただいているんですって。

まあそんな小ネタはともかく、テロリスト神山がいかに覚醒したか、豪腕の葛城はどのようにして入国管理官となったのか(リクルートのされ方が笑える)など、前作と続けて読むとなお趣深いかと。それだと、前作のヒロインがほんの少しだけ登場するシーンでゾクッときます。ぜひぜひ。

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