三船敏郎篇はこちら。
三國連太郎はもう人間の好悪を隠したりはしない。ソリが合わない監督など、一刀両断である。
・市川崑
-三國さんが助監督の役をやった『愛人』には、越路吹雪、岡田茉莉子、有馬稲子という錚々たる美人女優たちが出ていますが、市川崑監督は三國さんのほうには全然カメラを向けないで、女優ばっかり撮っていたそうですね(笑)。
三國:そうですね。有馬くんばっかり撮っていた。あのころ、有馬くんとはできていたんじゃないかな。
-そうです。有馬稲子が市川崑という監督ほどひどい男は見たことがない、自分との間にできた子どもを堕ろせと言われた、と週刊誌に告白しています。
三國:そんな噂は聞いたことがあります。
-和田夏十というシナリオライターの奥さんがいながらですから、ひどい話です。
三國:頭は夏十さんのほうがよかったですね。有馬さんはいま、高齢者施設に入っていらっしゃるんですか。
-ええ。高級老人ホームに入っているようですよ。
……有馬稲子の日経における告白(佐久間良子といい、あの連載はなんでもあり)は確かにたいそうな評判に。すでに自伝でも書いているので新しいネタでもなかったのだが。不倫は彼女が二十代の7年間におよび、
61年に有馬と中村錦之助の結婚が決まった時は入院中の有馬を訪れ、結婚をやめるよう説得。その最中に錦之助が来ると、レインコートをかぶって病室の隅に隠れた。
などという、なんというかしかしな事実まであからさまに。しかしこのやりとりを見ると、三國が唾棄しているのは市川監督よりも有馬稲子の方みたいだ。頭でっかちな女優は好みではなかったんでしょうね。
佐野眞一は例によって雑に断罪しているが、三國連太郎自身が清廉な人物でもなかったことは承知しているだろうに。後に三國は、あの「犬神家の一族」に写真でだけ登場するという、まことに微妙な関係を市川と続けている。
PART6「小津安二郎」につづく。
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