東京都の地図をみてもらえば、その町がちょっと変なことに気づくはずだ。そこだけ、神奈川県側にぶかっこうに飛び出ているのである。だからその町の道には、横浜中央交通のバスが通り、停留所そばに住む老人は、なぜか常に間引き運転を疑っている。
まほろのモデル、町田は第一作のときに特集したように、わたしが狛江にすんでいたころとは段違いに大きな街になっているらしい。すべてがそこにそろっているので、わざわざ小田急で新宿に出るまでもない。小さなトラブルは、駅前に良心的な便利屋があり、たいがいのことは解決してくれる。彼らふたり(瑛太、松田龍平)も、町田のようにはみ出ているが。
しかし今度の依頼はきつい。精子提供者としてだけの結婚をした便利屋の助手、行天(ぎょうてん。つくづくと、すばらしい名字だ)の実の娘を預かるとは。彼が児童虐待のトラウマもかかえているうえに、経営者である多田は、生まれて半年の子を失い、それをきっかけに離婚している。おそらく、子どもを預けるのにもっとも適さないふたり。そんなふたりにバスジャックや新興宗教の教団までからんできて……
一作目のなにが不満だったかといえば、あまりにヘビーすぎたことだ。ふたりの過去がきついものだったとしても、便利屋という不定型な日常まで重くすることはないだろうに。生活することは、確かに苦渋に満ちているけれど、だからこそ便利屋の日常はもっと軽く描いてほしかった。
そのリクエストに期待以上に応えてくれたのが大根仁のドラマ「まほろ駅前番外地」(テレビ東京)で、だからこそあのドラマのラストは沁みたのだ。
さあ一作目につづいて大森立嗣が監督した二作目は……うわー前作以上のディスカッションドラマになっています!設定は最高なのだから、もうちょっとねえ。
バスジャックにしても、あの中島貞夫の「狂った野獣」ほど破天荒にしてくれとは言わないが、緊迫しているなかに行天の無邪気さを際立たせれば、もっと観客をわくわくさせてくれたはず。
もっとも、ライターの火力を最大にするギャグは松田優作「探偵物語」へのオマージュだし(水谷豊とのからみ「東京の人はみんなこうですか!?」には笑ったっけ)、監督のお父さんである麿赤児が老いながらもいい身体をしているのに(さすが舞踏家)、瑛太の下腹のあたりがぷっくりしているもかわいい。ドラマ版で登場した柏木さん役で真木よう子が再登場してくれたのもうれしいっす。またつきあうから、三作目はもっと軽くね!
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「1」もまちキネで観ましたよ。
本作は原作読んだのでどう映像化させるか楽しみ。
「3」は原作ストック次第ですが、最新刊が
「…狂騒曲」なのでまだ先でしょうね。。
その頃だともう雪が降ってるんじゃないかと。
しばらく鶴岡には行けないかなあ。
良心作が多いのはいいにしても、それだけだとね。
どわっ!苦手なリュック・ベンソンの「LUCY」
やるのか。スカーレットお姉さんだから
行くんだろうなおれは(笑)
それがうまく相乗効果を出すと、とってもいいもんになるんですが、どうもはまらなかった。
永瀬さんの配役も合わなかったような気もしました。
なんだかんだ言って、次も見るでしょうが、子供にトラウマ持ちそうな映像はやめてほしいなあっと。
「ルーシー」、、、時間の無駄という評判だったので、珍しくスルーしました、はい。見てください。
やっちゃったか。
とかいいながら、スカーレットお姉さんの
色香にオレは負けるんだろうな。
雪路もなんのそのなんだろうな。