事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「大誘拐」を絶賛するPART2

2014-07-10 | 港座

9d45f3ed06976966b1744e678c8daf14 PART1はこちら

原作は天藤真のミステリ。あ、お若い方は彼のことを知らないだろうな。

角川文庫で彼の著作が80年ころに大量に(といっても寡作な人なので長篇は十作しかない)刊行してくれたので熱中。しかしまもなく彼は鬼籍に入ってしまう(83年)。

切れ味鋭く、同時にほのぼのしたスタイルは現在でも、いや現在こそうけると思う。創元推理文庫にたくさん入っています。ぜひ。「大誘拐」以外では「鈍い球音」がおすすめかな。

さて「大誘拐」。週刊文春が選んだ20世紀の国産ミステリ第一位の座はダテじゃない。ストーリーは、ちんけな三人組が和歌山在住の大富豪(なにしろ所有する山林面積が大阪府よりも広いという設定)のおばあちゃんを誘拐する。ここまでは、まあよくある話。しかしここからお話は大きくねじ曲がっていく。

おばあちゃんは誘拐犯たちに問う。

「ところで、身代金はなんぼや」

「五千万や」

「見損のうてもろては困りますな」

ということで誘拐された側が身代金をつりあげるのだ。その額はなんと百億円

以下、この映画の勘所は

・和歌山県警本部長はまことに優秀。三人組のずさんな計画は本部長に次々に喝破される。

・しかしこの犯罪は途中から周到なものに変容していく。

つまり、この誘拐事件においては主犯が交代するのだ。被害者のおばあちゃんが主犯。要するに狂言誘拐じゃないかと指摘されそうだが、展開はそう単純ではない。

いくら富豪とはいえ、百億をキャッシュですぐに用意するのはむずかしい。だからおばあちゃんの息子や娘は、山林を売って金をつくろうとする。

そこへ、画家としてのんきな生活をしている四男が(金持ちの家にはかならずひとりはいますよね)「売るよりも、山林を担保に銀行から融資を受けた方が得やないか?」と、急にしっかりするのがおかしい。以下次号

大誘拐―天藤真推理小説全集〈9〉 (創元推理文庫) 大誘拐―天藤真推理小説全集〈9〉 (創元推理文庫)
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発売日:2000-07
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