事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「大誘拐」を絶賛するPART1

2014-07-08 | 港座

Rainbow_kids 犯罪とその量刑が、見合っていないのではないかと思える罪状がいくつかある。

ひとつは真保裕一「奪取」で紹介した貨幣の偽造。要するに偽札作りですな。スキャナー、画像ソフト、プリンタの発達などで、軽い気持ちでやっちゃう人が後を絶たない。でも、どこの国においても重罪。

もうひとつ、脱税もたいしたものだ。税務署との頭脳戦は、ネタとしては面白いし、実際に脱税する人も多い。節税と脱税の境界線はかなり微妙だし、税理士という存在の根幹にかかわる。でも、脱税で訴追されるとこれがかなり痛い。アル・カポネが逮捕されたのも実は脱税です。例えのレベルが違いすぎますが、うちも追徴されたのは痛かったなー

さて、どちらもその量刑は苛烈。それはなぜかというと、国家にとって、かなり痛いところをついた犯罪だからだろう。

ビットコイン騒ぎのとき、「だから架空の貨幣なんか信用できないんだ」とする人がいたのでちょっとあきれた。だって貨幣とはもともと国家という幻想にのみ裏打ちされた架空の存在ではないか。だから通貨偽造は国家転覆を企図するととられても仕方ないわけ。

脱税の方はもっとわかりやすい。収入がなくなれば国は立ち行かないのだから。歴史的に見ても、多くの王朝、国家は税への不満がきっかけとなって倒れている。シンプルにたとえれば、国家と国民は税をめぐって常に綱引きをしている。その綱引きを意識させないのが善き為政者というもの。いまの日本の首相は逆に……

さて「大誘拐」。1991年のバブル破裂寸前に公開。岡本喜八監督は、「独立愚連隊」「暗黒街の対決」などの切れ味鋭いアクションもあれば、「ダイナマイトどんどん」「英霊たちの応援歌」のような戦中派の怨念がむき出しになる作品もある。「ブルークリスマス」のような失敗作ももちろんあります(笑)。

でも「大誘拐」は、そんな岡本喜八監督の特色がみごとに決まった快作に仕上がっている。以下次号

コメント (2)
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