「スラムダンク」大好きでした。初めの頃はそんなでもなかったんだけど、桜木がまじめに練習を始めるあたりから私の中では盛り上がりました。
井上さんのすごいところは動きのある身体の描き方がどんどんうまくなっていったこととゲームを描くときのコマ割。このコマ割がなんというか、映画カメラのアングルのようで井上さんのほかにこんなコマ割をするマンガ家を知りません。桜木がボールを追いかけて役員席に突っ込むところなんてすごかったよね。
……まったくである。ちょっと毛色の変わったヤンキー漫画かと思っていたスラムダンクは、中盤からとにかくどんどんうまくなってゆき、しまいには漫画表現をイノベイトしたといっても差し支えなかったと思う。特に、本当に終われるのかとまで思った山王工業との決戦のラスト。セリフなし。擬音なし。最後の最後に主人公の桜木が吐いた唯一のセリフが
「左手はそえるだけ」
かーっ!うまい!読んでない人には意味不明だろうけれど、いやもう呆然とするぐらいの技巧だ。
進行が遅かったこのマンガは、しかしコミックスでまとめて読むと逆に濃密な時間が流れており、さっきのセリフのようにきちんと張られた伏線や、全員立ちまくりのキャラに感動できる。主人公たちの家庭はほとんど描かれず、とにかくのべつまくなしにバスケットボールをやっているのだが、ある意味、安西先生という父性の代表を中心にした子どもたちの物語であるあたり、少年マンガの王道を歩んでいる。女性ファンが多い三井が「安西先生、バスケがしたいです……」と告白する場面あたりからはもう勢いが止まらず、持ち金のすべてをコミックスにつぎ込み続けたっけ。こんな人は多いはず。そりゃ1億冊も売れるって。
さて、残る問題は井上が続編を書くかどうかだが、わたしは十分にその可能性はあると思う。そうでもなければ本来もっと出番が多いはずだった仙道という最高のキャラがもったいないじゃないか!
(次回は岡崎京子)
映画は5回観ました。
初見時オープニングを観た段階で次の回の鑑賞を決心し、
終了後すぐにチケットを買って再入場したという
初体験をしました。
翌日にはレンタルで全巻読み返し、
改めてストーリーとコマ割りと絵のうまさに
感動しました。
そして結局昨日新装再編版を買いましたよ。
この歳になってよく分かるのは、
相手チーム(特に山王)の描き方の良さ。
コミックスの発売を待ちわびる日々。
で、集英社の奸計に乗って
愛蔵版一気買い(笑)
至福。