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事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

日本の警察 その70 「レディ・ジョーカー」(2013 WOWOW)

2014-10-27 | 日本の警察

その69「笑う警官」はこちら

高村薫の原作は、もう誰にも文句のつけようがない傑作。グリコ=森永事件をモデルに、犯人グループ、警察、脅迫された企業のそれぞれが徹底的に描きこまれていた。ここ二十年の犯罪小説のなかで確実にトップ3に入るだろう。

起点は一通の手紙。差別を背景に……

映画化された2004年作品は、犯人グループのリーダーが渡哲也、合田刑事に徳重聡という石原プロな布陣、くわえて悪徳刑事が吉川晃司で激しく魅力的だったので、犯罪者側からの視点が中心。あれはいい映画だった(脚本は「月はどっちに出ている」「血と骨」の鄭義信、監督は「愛を乞うひと」の平山秀幸)。

ただ、あの長大な原作を2時間ちょいで描くのはやはり無理があり、テレビドラマ化という手法はまっとうだ。もっとも、ネタがネタなのでやはり地上波では無理で、「マークスの山」につづいてWOWOWが製作している。恐喝されるビール会社の社長が柴田恭兵、恐喝する側のリーダーが泉谷しげるなのだから、企業倫理の方に重心が移っていることがわかります(笑)。

大企業のトップとして、柴田恭兵がくだした判断は果たして正しかったか。裏に総会屋もからんでそのあたりがむちゃくちゃ面白い。合田相手にしみじみと、無邪気にビールを売りまくっていたころがいちばん楽しかった、とする述懐は本音だろう。

副社長ふたりが益岡徹と、なんと石橋凌。彼らふたりがどのような動きをするかも実に納得できる。警察内部に容疑者がいるとしたときに、彼らがどんな動きをするか、悪徳刑事はどのようにしてしのぐかの攻防も見ごたえがある。

キャストでは、社長副社長の三人が絶妙。シリアスなスリー・アミーゴスとも形容できる。上川隆也の合田はやはりちょっと違うんだけど、だったら誰にすればいいのかすぐには思い浮かばない。白いスニーカーを履き続けることで意地を通していた彼は、それ以外は無色な存在だからなのだろうか。

ドラマ版は「軍師官兵衛」の前川洋一が脚本、監督は上川隆也と組みまくっている水谷俊之。

その71「うちのホンカン」につづく

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