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タイトルに反して、実は冷静にプロ野球全体を考察する書。とても興味深く読んだ。
「巨人・大鵬・卵焼き」というフレーズに象徴される「ほとんど誰もが大好きな存在」だったはずの巨人が、あるいはだからこそ激しくアンチ巨人に憎まれた巨人が、いまではすっかり影が薄くなっているのはなぜか。
元巨人ファンである著者は、さまざまな立場の人たちにインタビューし、その謎を解いていく。巨人ファンが減少した理由はわたしでもいくつも挙げられる。
・かつて全国区だった巨人の、巨大なファン層だった北海道と東北、そして九州に、それぞれ日ハム、楽天、ソフトバンクが進出した。
・だけでなく、その土地に根付いたチームを応援する方向にプロ野球が加速している。
・その方向性を生んだJリーグなど、他のスポーツを楽しむ土壌が確立した。
・メジャーリーグを志向する選手が増え、超スターがNPBからいなくなることが連続。
・同時に、“メジャーの二軍”というイメージがプロ野球から熱狂を奪った。
・球界の盟主だったはずの巨人に、江川問題、賭博などのスキャンダルが頻発。
・松井秀喜以降、好選手はいても大スターが巨人に生まれていない。
……数字として、巨人人気のピークはV9時代ではなかったことが語られて興味深い。あの時代ですら後楽園には空席がめだったらしい。過熱したのは長嶋が監督となり、初めて最下位になる衝撃が影響したのだと。
加えて、チームの強化策としてFAで他球団の四番打者をかき集めたことも野球好き(それは巨人ファンであっても)は反発。なるほど。興行として、週に一度しか登板しない投手よりも、とにかくホームランを打てるタイプをそろえたことでむしろ弱体化……
巨人ファンだった人たちにしても、著者にしても、そしてわたしにしても思う。あのころの(それは人によって違う時代だろうが)その日の勝敗に一喜一憂した時代がなつかしいと。今年東京ドームに行ったときに、面白くは見たけれども、どこかで醒めていた自分を思い出し、あのころの自分はどこへ行ったのかとしみじみ。
>その土地に根付いたチームを応援する方向
それはいえるな。
なるほど、阪神もちゃんとしないとファンが逃げるで、いや矢野さんが監督になったから大丈夫か
あかんと思われていたわけですね?