その5「ドミノ in 上海」はこちら。
短編集。ダークな味わい、鋭い切れ味。おみごとだ。
問題はラストに収録されたタイトル作なんだけど、“管(くだ)”をテーマにしたエッセイのようになっている。で、そこに登場するのがW.M.というトランぺッター。兄がB.M.なのだから、これはどう考えてもウィントン・マルサリスのことだろう(兄はブランフォード・マルサリス)。
そしてこの作品で彼の超絶技巧にふれて
「彼はマウスピースを使わない」
と紹介している。へー、あいつってそのまま管を吹いてあの音を出しているのかあ……と感心したけれど、ちょっと待てよと。いくらなんでもマウスピースを使わないってことはないんじゃないだろうか。
それが本当でもすばらしいエッセイだが、もしも恩田陸の企みのために架空の設定にしたのだとすれば、それはそれで凄みのある小説だと感じ入りました。
その7「夢違」につづく。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます