事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

古畑任三郎を全部観る Vol.22「間違えられた男」

2009-02-03 | テレビ番組

Kazamamorio01 第21話「魔術師の選択」はこちら

珍品中の珍品。シリーズ全体を見わたしても、これほど笑える回はない。

オープニングはやけにシリアス。雪の山荘で、雑誌編集長の若林(風間杜夫)は、妻を寝取った男を射殺する。猟銃を死体に持たせて自殺を偽装し、ワイヤーを使って戸外から鍵を被害者に……おー、めずらしく本格密室殺人かっ!と誰でも思う。タイトルもヒッチコック作品からいただいているし。しかしここから「間違えられた男」はとんでもない方向に動き出す。

完全殺人を遂行したかに見えた若林の計画が破綻したのは、逃走途中に車がパンクしたことに始まる。雪道をトボトボ歩く彼を拾ってくれたのはやけに陽気な男、鴨田(小野武彦)だった。アリバイづくりのためにここにいることを知られてはまずい若林のことを、鴨田は口止めされたのに自宅の留守電に吹きこんでしまう。やむなく若林は……

ゲームの達人」「動機の鑑定」につづいて連続殺人。しかし事件が陰惨であればあるほど三谷は例によって別の見せ場を用意する。

今回は“風間杜夫扮する若林が、古畑の前でどう鴨田になりすますか”だ。『なりすまし』『絶体絶命』は三谷作品ではおなじみのネタ。鴨田を演じた小野武彦自身も「王様のレストラン」で総支配人になりすました回がありましたね?

で、古畑のことだから当然気づいているのである。この男、なにかおかしいと。したがって延々といじめのように若林はなぶられることになってしまう。まるで猫とネズミ。さぞや若林には古畑が悪魔のように見えたことであろう。

しかし逆に、だからこそこの回は風間杜夫の独壇場だとも言える。古畑の登場が圧倒的に遅く、風間杜夫の一人芝居が延々と続く「間違えられた男」には、かつて東京サンシャインボーイズを主宰していたころに、つかこうへい事務所のスターだった風間への三谷幸喜のリスペクトが凝縮されている。同じ小劇場で苦労した人間だからこそ、ここまで任せることができたのだ。

Villageofeightgravestonesちなみに、風間は松竹の「八つ墓村」に、中野良子と鍾乳洞でエッチする役に抜擢されたんだけど(顔はほとんど映らない)、これって中野のリクエストだったんだよ。名子役だっただけに、女優に人気もあったわけだ。

「もっとちゃんとした犯罪で捕まりたかった」ラストのセリフも、いまだに母性本能をくすぐる感じで語れるのだからさすが。つくづく、名優だなあ。

第23話「ニューヨークでの出来事」につづく。

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